オズのハンク
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第五幕その九
「今もよ。ただ昔とはまた違うわね」
「ビールやワインは」
「随分変わったわよ、冷えてもいるし」
「昔のエジプトだとね」
「冷やすことは無理だったから」
「しかもエジプトは暑いし」
「お酒も冷えていなかったの」
ビールもワインもというのです。
「そうだったけれど」
「今は違うわね」
「冷蔵庫みたいなものがあるから」
だからだというのです。
「それでなのよ」
「よく冷えたビールやワインもなのね」
「よく飲んでいるわ」
「古代エジプトと違うところは違うのね」
「そうよ、ピラミッドの中もね」
「そこはオズの国と同じね」
「ええ、それとね」
ここでこうも言った女神様でした。
「猫も増えたわね」
「古代エジプトと比べたら」
「随分とね」
「そういえばだよ」
ハンクは自分の背中に乗っているスコティッシュフォールドを見ました、白地で所々が黒や灰色になっている毛並みで耳は奇麗に垂れています。
「この子だってね」
「その子の名前はライゾウっていうのよ」
「ふうん、そうした名前なんだ」
「そうよ、奇麗な顔をしてるでしょ」
「美形だね」
「この祭壇の中でもかなり男前の部類なのよ」
「あっ、雄猫なんだ」
ハンクは言われて気付きました。
「この子は」
「そうよ、雄猫なの」
「そうだったんだ」
「顔がいいから女の子に見えるでしょ」
「最初そう思ったけれどね」
「実は男の子なのよ」
「そうなんだね」
「それでその子の種類もね」
スコティッシュフォールドもというのです。
「最近出て来た種類でね」
「昔はいなかったんだね」
「そうよ、古代エジプトでは猫はね」
「どうだったのかな」
「私の顔みたいな感じな子ばかりだったの」
「そうだったんだ」
「それで今の子達よりずっとやんちゃだったわね」
バステト女神は笑ってこうも言いました。
「山猫みたいな感じで」
「山猫から猫になったから」
「そうだったのよ、けれど今はね」
「猫の種類も増えたんだね」
「そうよ、こうした子もいるし」
女神様は自分の足元に来てすりすりとしてきたシャム猫も観ました、そうしてそのうえでハンクにお話するのでした。
「猫も増えたわね」
「それはいいことだよね」
「私にとってはね」
「そうだね、やっぱり」
「虎みたいな猫もいたりしてね」
「寅毛模様ですね」
カルロスが言ってきました。
「日本に特に多いんですよね」
「そうね、ニホンネコにね」
「その模様の子多いですね」
「腹ペコタイガーさんを小さくした様なね」
「あれっ、腹ペコタイガーさんご存知ですか」
「ドロシー王女が何度も来てくれてるのよ」
このピラミッドにというのです。
「それで一緒に来てくれたことがあったのよ」
「そうだったんですね」
「臆病ライオンさんと一緒にね」
「じゃあかかしさん樵さんも」
「一緒だったわ、その時はオジョ君も一緒だったわ」
彼もというのです。
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