力が全て
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第六章
「だからだ」
「それでっちゅうんか」
「殺人に放火、強姦、覚醒剤、色々したな」
「あそこはそうした場所じゃ」
スラム街はとだ、ハラキトセンは言い返した。
「それでや」
「人を殺したりしていたのか」
「力でどうにかなる場所やぞ」
「法律のない場所か」
「そやからじゃ」
「悪事を働いて生きていたか」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「やったモン勝ちやからのう」
「行った者勝ちか」
執行人はハラキヨセンのその言葉に反応を見せた。
「そう言うか」
「ちゃうんか、力があってな」
「その力を使った者がか」
「勝ちじゃ、暴力が全てじゃ」
その暴力を使ってきた者の言葉だ。
「世の中はな、それの何が悪いんじゃ」
「それは獣の言葉だ」
執行人はハラキヨセンに冷たく告げた。
「人の言葉ではない」
「何っ!?」
「お前は獣だ、しかもかなり質の悪い」
「わしが獣やっちゅうんか」
「そうだ、獣でだ」
それでというのだ。
「我々はその獣を駆除するのだ」
「わしをそうするってお前そんなに偉いんか」
「偉くはない、だが」
「だが。何や」
「我々は人間だ」
こう言うのだった。
「だから法律があるのだ」
「法律?」
「そして倫理観がな、力があるならば」
「お前等も持ってるやろが」
「しかしそれは暴力ではない」
そこが違うというのだ。
「武力だ」
「武力、何やれ」
「理性のある力だ、暴力には理性がない」
「わしの力はそれやっちゅうんか」
「そうだ貴様の力はだ」
まさにというのだ。
「暴力に過ぎない、そして暴力は理性によって抑えられ法律に抑えられる」
「そんなもんにか」
「形のないな、だがその力は何よりも強く」
そしてというのだ。
「貴様をこれから裁く」
「わしを死刑にするんか」
「そうだ、これでわかったか」
「わかるか、こんなとこわしの力やったらな」
暴れて抜け出ようとした、しかし。
執行人はその彼に冷たい目のまま拳銃を向けた、それで全身に高圧電流を流させてそうしてだった。そのショックで動きを止め。
そのうえでだ、また彼に告げた。
「獣は獣だ」
「くっ・・・・・・」
「その程度だ、では法律によって裁かれろ」
法律の力でとだ、こう告げてだった。
彼はハラキヨセンを処刑台に送った、そうして他の執行人達と一緒に肉を一片一片ゆっくりと切り落としていった。
ハラキヨセンはこの上ない苦痛を味わい絶叫の中で死んでいった、字ぬまでには相当な時間がかかった。
細切れ、もう手足も首も胴体も何もかもが散らばり内臓も剥き出しになったハラキヨセンの骸は凶悪犯の弔い方として糞尿と一緒に箱に詰められゴミとして捨てられて終わった。そうして後にはだった
暴力の限りを尽くした輩の報いとして語られるのみだった、これが暴力さえあれば何でも出来ると豪語した輩の末路だった。彼に同情する者は誰もいなかった、生きる価値もない屑が処刑されてよかった、拍手喝采を送る者だけがいた。
力が全て 完
2019・7・14
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