ヘタリア大帝国
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TURN35 マレー侵攻の前にその一
TURN35 マレー侵攻の前に
田中はラバウルに向かっていた。共にいるのは。
アストロパンダに手長猿、それに猫に犬、〆羅だった。その彼等の艦隊を見て言うのだった。
「何かな」
「どうしたんだよ」
「何かあったの?」
「俺は動物と縁があるのかよ」
少し首を捻ってだ。彼は言うのだった。
「魚艦隊といいおめえ等といいな」
「嫌?」
「嫌なのかな僕達と一緒だと」
「嫌かっていうと違うからな」
そのことはしっかりと言う田中だった。
「魚だって好きだしおめえ等だってな」
「うん、田中さんが一番親しく付き合ってくれるからね」
「僕達だって田中さんのこと好きだよ」
動物達も言う。
「だからラバウルの戦いね」
「一緒に頑張ろうね」
「ああ、やってやるぜ」
田中はいつもの威勢で言った。
「ラバウル、陥落させてやるぜ」
「では行きましょう」
〆羅も言ってきた。
「いざ決戦の場に」
「ラバウルだけれどね」
台湾もいた。国家としてラバウルに来ているのは彼女だった。
「ガメリカ軍の名のある提督ではクリス=ハルゼー提督がいるから」
「ハルゼー提督ね。知ってるわ」
ハニートラップもいる。彼女も提督として立派な艦隊を率いている。
その彼女もだ。こう言うのだった。
「航空機戦の専門家よね」
「そう。空母を使った戦術を得意としてるわ」
「しかも占いにも秀でていて」
台湾はハルゼーのそのことも知っていた。ただ優秀なだけではないのだ。
「その結果によって戦術を決定もするわ」
「そのハルゼーがどう動くかね」
「へっ、どんな風に動いてもな」
どうするかとだ。田中はここでも威勢よく言う。
「俺が叩き潰してやるぜ」
「あんた馬鹿でしょ」
ハニートラップはモニターから醒めた目で田中を見て述べた。
「それも一直線な」
「おい、俺が馬鹿だっていうのかよ」
「相手を碌に理解せずに突っ込まない奴を馬鹿と言わずして何ていうのよ」
「突撃だよ。俺はいつもそうしてるんだよ」
「そのうち大怪我するわよ」
ハニートラップの目は呆れたものだった。
「艦隊全滅、戦死もね」
「俺がそうなるっていうのかよ」
「そうよ。そこまで馬鹿だとね」
「馬鹿馬鹿ってよく言ってくれるな」
田中が言うとだ。アストロコーギーとアストロ猫が言ってきた。
「そうだよ。田中さんは馬鹿じゃないよ」
「ただの馬鹿じゃないんだよ」
「馬鹿は馬鹿でも大馬鹿だよ」
「普通の馬鹿って思ってもらったら困るよ」
「おめえ等フォローしてんのか?」
田中はそのことすら疑問に思った。彼等の今の言葉には。
「思いきりけなしてるように聞こえるんだけれどな」
「フォローしてるつもりだけれど」
「そう聞こえない?」
「だって田中さんあの東郷さんから連合艦隊司令長官の座奪うっていうし」
「命令違反なんて常だしね」
「だからけなしてるだろ」
また言う田中だった。
「ったくよ。とにかく俺はいつも特攻なんだよ」
「日本軍もよくこんな馬鹿提督にしてるわね」
ハニートラップの呆れた口調は変わらない。その目も。
「けれど東郷は案外こいつ重用してない」
「うん、そうかもね」
「自分の席を奪うって公言してる人だけれどね」
今度は猿とパンダが言う。
「何か結構色々任務与えてるよ」
「今みたいにね」
「田中さんは確かに命令違反ばかりして暴走するけれど」
台湾はその言われっぱなしの田中をモニターから見て話す。
「伊達に士官学校で勉強してこの若さで提督になった訳じゃないから」
「おう、俺はやるぜ」
「けれど本当にそのうち大怪我するわね」
台湾はこうも見ていた。そうした意味ではハニートラップと同じだった。
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