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友達の傍に

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第一章

               友達の傍に
 ジョン=カドリングはシカゴの道の片隅に倒れている子犬を見た、毛色は白く種類は彼にはわからなかった。
 ジョンはその子犬を見てすぐに母に言った。
「お母さん、あそこに」
「犬ね」
 母もその子犬を見て言った。
「怪我して倒れているみたいね」
「車に撥ねられたのかな」
「そうかも知れないわね」
「もう死んでるかな」 
 ジョンはその子犬が動かないのを見て眉を曇らせた、くすんだ金髪で緑の目のあどけない顔立ちの男の子だ。
「あの子は」
「わからないわね」
「あの、若し生きていたら」
 ジョンは母にその子犬を見つつ言った。
「助けてあげて」
「それでよね」
「うちで飼わない?」
「そうね、犬がいるとね」 
 それでとだ、母は我が子に答えた。
「番犬にもなるしね」
「お友達にもなるよね、僕の」
「家族にもね」
「それじゃあね」
「ええ、けれど全く動かないから」
 母は自分の髪の毛の色と夫の目の色を持つ我が子に言った。
「大丈夫かしら」
「死んでるかな」
「わからないわね、けれどね」
「若し生きていたら」
「うちで飼いましょう」
「じゃあね」
 ジョンはその犬のところに駆け寄った、抱き抱えると温かく柔らかい。それで生きていることがわかった。
 ジョンは母と共にその犬をすぐに近くの動物病院に連れて行った、だが獣医は二人に深刻な顔で話した。
「かなりの栄養不良でしかも怪我をしていて」
「だからですか」
「無理かも知れないです」
 こう言うのだった。
「手術はさせてもらいますが」
「それでもですか」
「後はこの子の頑張り次第です」 
 こう母に話した、そしてだった。
 ジョンと母それに事情を聴いた父は子犬の回復を神に祈った、彼等の祈りが神に通じたのであろうか。
 子犬は目を開いた、獣医は喜ぶ家族に話した。
「後はこの子の体力が回復すれば」
「それで、ですか」
「元気になってくれます」 
 ジョンの父に話した、少し太り気味の彼に。
「そうなってくれます」
「この子は助かるんですね」
「このままいけば。若しあと少し発見が遅れていれば」
「手遅れにですか」
「なっていたでしょう」
「僕が拾ったからなんだ」
 ジョンはその話を聞いて言った。
「この子は助かったんだ」
「そうだよ、君がこの子を助けたんだ」
 獣医はジョンに暖かい声で答えた。
「よくやったね、これからはね」
「この子をだね」
「飼ってくれるね」
「うん、絶対にね」
「この子は君の友達で家族になるんだ」
 獣医はジョンに暖かい中に強いものを込めて彼に話した。
「ならだよ」
「この子を大事にしていかないと駄目だね」
「そうするとこの子も君も大事にするからね」
「お互いにだね」
「そう、友達でそして家族にね」
「なるんだね」
「そうなるんだ」
「わかったよ」
 ジョンは獣医に笑顔で応えた、こうしてだった。
 ジョンは子犬が元気になると退院させてもらい家で引き取った、性別は雄だった。子犬には首輪がなかったので野良犬であることは明白だった。それで飼うには問題がなかった。 
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