ヘタリア大帝国
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TURN33 マニラ攻撃その七
ララーは己の艦艇を動かす。そのうえでミサイルの照準を合わせた。キャシーもそれに続く。
ダグラスもだ。ミサイル攻撃はだった。
「敵の司令官の直率する艦隊に攻撃を集中させろ!」
「それでまずは頭を潰してだね」
「そうなれば敵の指揮系統に混乱が生じる」
そうなればだとだ。ダグラスは今度はフィリピンに話した。
「そしてそのうえでだ」
「そうだね。今度は鉄鋼弾で敵艦隊に攻撃を仕掛けて」
「敵にできる限りのダメージを与えてな」
そしてだというのだ。
「今は撤退する。戦略通りな」
「わかったよ。じゃあね」
「いいか、撤退は急げ!」
ダグラスはマニラからハワイに撤退する部隊も見ていた。
「鉄鋼弾の総攻撃を浴びせてから撤退するからな」
「撤退の状況は何とか順調だぞ」
アメリカもその撤退する部隊を見て言う。
「間に合いそうだ」
「ああ、何とかな」
ダグラスもそれを見続けている。
「しかし人員はともかくな。持ち出せない物資も多いな」
「それは仕方ないな」
アメリカはここではダグラスの忌々しい感じの言葉に述べた。
「何しろ急な攻撃だからな」
「わかっている。残念だが日本帝国にくれてやる」
かなりの量の物資を置いておかねばならないのも事実だ。だからこそだった。
ダグラスは口惜しかった。しかしそれは仕方がなかった。
そうした物資は置いていくことにしてだ。人員の撤退を最優先させたのだ。
「フィリピン軍も逃げろ!ハワイまでな!」
「悪いね、僕達もなんて」
「あんた達はガメリカの友人だからな」
こうフィリピンにも話す。
「気にするな。とにかく逃げるんだ」
「じゃあまずはミサイルでね」
またララーが言ってきた。
「敵の司令官の艦隊を旗艦ごと潰すね」
「ああ、やってくれ」
ダグラスも応えた。そうしてだった。
ガメリカ、フィリピン軍は東郷が直率するその艦隊、特に長門にミサイルの集中攻撃を浴びせた。これにはさしもの東郷もかわしきれなかった。
「司令、このままでは」
「ああ、全部は無理だな」
「長門にもかなりの被害が出ます」
「撃沈されることだけは避ける」
最悪の事態、それだけは何とかという判断だった。
「致命傷になりそうなものだけを避ける」
「そうしますか」
「おそらくこのミサイルの後でだ」
「今度は鉄鋼弾ですね」
「それは軍全体に浴びせてくる」
ミサイルは東郷が率いる艦隊に集中攻撃を浴びせてだ。鉄鋼弾はそうするというのだ。
「出来る限りダメージを与えてな」
「我々の動きを鈍らせてですね」
「その間にハワイまで撤退させるつもりだ」
東郷は読んでいた。そこまで。
「そうしてくるな」
「敵も馬鹿ではありませんからね」
「必死さ。それにな」
ここでだ。東郷は敵軍の中にいる一隻の見事なシルエットの戦艦を見た。それは旗艦エンタープライズ、他ならぬダグラスの乗っている艦だ。
その艦を見てだ。そのうえで言うのだった。
「敵の司令官イーグル=ダグラス大将だな」
「はい、この前着任したばかりの」
「元映画スターのな。凄いのはルックスや演技力だけじゃないな」
「そうですね。中々優れています」
「マニラで受けたダメージは一旦日本まで戻って修理させる」
艦隊のダメージ自体は重視していなかった。だが、だった。
東郷はその日本に戻る時のロスを問題視していた。それがだった。
「だがその修理の間にだ」
「東南アジア、オセアニアのエイリス植民地への侵攻が遅れますね」
「このままできればマニラから一気に進むつもりだった」
間髪入れずのエイリス植民地への侵攻、それが東郷が考えていることだった。
だが実際は彼はそれが実現できる可能性は低いとも思っていた。ロスを危惧していてもだ。
それでだ。こう言うのだった。
「日本に戻り大修理工場での修理なら一月で全ての艦隊が修復できるが」
「その一月が、ですね」
「かなりのロスになる」
今の状況ではだ。殊更だった。
「エイリスも本国から正規軍を送ってくるからな」
「その一月の間に下手をすれば」
「マレーでぶつかるかも知れない。厄介だ」
「ではここは」
「何とかすぐにエイリス植民地に攻め込みたいがな」
しかしそれが難しくなろうとしていることもだ。東郷は今理解せずを得なかった。ミサイルを全て回避することは不可能だからだ。ガメリカ、フィリピン連合軍全軍の攻撃をかわすことは。
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