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ヘタリア大帝国

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TURN33 マニラ攻撃その三

「とりあえず日本から宣戦布告を受け取ったさ。後は」
「うん、アメリカさんが戻ってね」
「そのうえでよね」
「さて、絶対にな」
 ダグラスの目がここで光った。
「バカンスは中止になる。臨戦態勢に突入だ」
「うん、アメリカさんはそれを伝えてくるね」
「そうなるよね」
「今のうちに出しておくか」
 直感的にだ。ダグラスは何かを感じ取っていた。
 そのうえでだ。こう言ったのである。
「スクランブルをな。キャシーも呼び戻そう」
「それはちょっと早いんじゃないかな」
「いや、やるとわかっていることは先にやっておいた方がいい」
「脚本を覚えるのと同じで?」
「まあそんなところだな」  
 彼の過去の経歴を入れて言ってきたフィリピンにだ。ダグラスはこう返した。
「それはな」
「先に先にだね」
「中帝国の言葉だったな」 
 ダグラスはカレッジで学んだ言葉をここで出した。
「先んずれば人を制す、だな」
「ああ、中帝国の昔の人が言った」
「項羽だったな」
 中帝国の歴史にその名を残す英雄の一人だ。圧倒的な武勇で知られている。
「やるべきことは先に先にやってな」
「空いた時間でさらにだね」
「何かをする。そうしてこそだからな」
「映画スターイーグル=ダグラスは努力家なんだね」
「何かをしないとガメリカは成功しない社会だからな」
 ガメリカンドリームは才能と努力、それに運で掴み取るものだからだ。
「それでだ。俺はいつもそうしてきた」
「そして太平洋艦隊司令長官にもなったというのかな」
「その通りだ。じゃあフィリピンさんの方はな」
「うん、備えておくよ」 
 こうダグラスに答える。
「今のうちにね」
「頼むな。じゃあキャシーも呼び戻してな」
 こうした話をして備えに入ろうとしていた。しかしだった。
 ダグラスはマニラ全体をエンタープライズのモニターに映してだ。艦橋にいる部下達に言った。
「ガメリカの国家戦略はわかっていてもな」
「わざと負けることはですね」
「そのことはですか」
「ああ、好きになれないな」
 彼の性格的にだった。それは無理だった。
「一気に勝ちたいところだな」
「しかしこのままではエイリスの植民地はそのままです」
「彼等の解放はありません」
「日本がエイリスの植民地を手に入れればな」
「そこで我々が反撃に出てその植民地を『解放』し」
「そしてその国々の独立を承認します」
 つまり先に手を出させてそれからだというのだ。
「そのうえで日本自体も叩く」
「それから中帝国と共に太平洋経済圏の構築ですね」
「戦略としてはいい」
 ダグラスが見てもだった。それは。
「むしろそれしかない位だ」
「しかしですか」
「やはり一旦負けるというのは」
「それは」
「フィリピンさんもハワイに入ってもらうがな」
 こうした意味でガメリカとフィリピンは一心同体だった。兄弟国と言っていい。
「とりあえず負けるのは癪に触る」
「ですか。計画通りとはいえ」
「そのことは」
「しかし精々ここじゃ戦ってやるさ」
 敗れるにしてもだ。そうするというのだ。
「撤退の準備もしておこう」
「はい、では惑星の基地の人員や物資もですね」
「今のうちに」
「人員は絶対に連れて行く」
 撤退するならだ。それは当然だというのだ。
 
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