ヘタリア大帝国
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TURN32 奇襲その九
その彼等にだ。伊藤が乗艦からこう言ってきた。
「我が国は貴国との戦争に入った」
「馬鹿な、日本帝国の伊藤公爵だと!?」
「日本の首相が自ら戦うのか」
「そして艦隊を指揮するとは」
「軍の指揮をまだ執るというのか」
ガメリカ軍の将兵達にはこのことも驚くべきことだった。
「何ということだ」
「敵の艦隊も多いぞ」
「しかも我々は包囲されている」
港にだ。そうなっていた。
「出撃しようにもネクスン提督と連絡が取れない」
「これでは」
「多くは言わない。降伏することだ」
伊藤はいきなり本題に入った。
「若し戦うというのなら遠慮はしないとだけ言っておこう」
「くっ、日本めまさか」
「急に攻め込んでくるとは」
「何ということをしてくれた」
「宣戦布告前に来るとは」
「いえ、宣戦布告はもうさせて頂きました」
日本妹もいた。エイリスへの宣戦布告を務めた彼女が。
「我が国はガメリカ、エイリスに宣戦布告を行いました」
「その直後にだ」
伊藤がここでまた言う。
「こうして攻撃を仕掛けさせてもらった」
「宣戦布告と同時に攻撃開始だと」
「電撃戦を仕掛けてきたか」
「何ということだ」
「さて、それではだ」
伊藤は再度ガメリカ軍の将兵達に問うた。
「貴官達はどうするのか」
「降伏か戦闘か」
「どちらか、か」
ガメリカ軍の将兵達は伊藤の言葉を聞いてだ。そのうえでだった。
お互いに顔を見合わせる。だが、だった。
何しろ包囲されているうえに指揮官不在だ。これではだった。
「戦闘にもならないぞ」
「若し出撃してもその場で狙われるぞ」
「おまけに提督までおられないのなら」
「戦いにもならない」
「どうにもならないぞ」
出撃しても総攻撃を受けるだけだった。それは一目瞭然だった。こうした状況ではだった。
彼等の選択肢は実質的には一つしかなかった。それはというと。
「降伏か」
「そうだな。この状況ではな」
「それしかない」
「正直今は戦いにもならない」
「どうにもならないぞ」
こう話してだ。彼等は苦渋の決断を下したのだった。
その決断は今艦隊に残っている僅かな将官の中で最も階級とその任期が長い少将がだ。こう伊藤に対して言ってきた。極めて苦い顔で。
「我々の行動は決定した」
「そうか。ではどちらかな」
「降伏だ」
戦いにはならない、それではこれしかなかった。
「我が軍は貴国に対して降伏する」
「そうか。そうしてくれるか」
「捕虜としての待遇を要求する」
国際条約に基きだというのだ。
「それは保障してくれるだろうか」
「無論」
当然だと。伊藤も返す。
「日本帝国首相として約束しよう」
「そうか。それではだ」
少将も降伏するというのだった。こうしてだった。
マイクロネシアのガメリカ軍は降伏した。日本帝国軍の奇襲は成功しマイクロネシアはあっけないまでにあっさりと日本に占領された。その中でだ。
捕虜になったガメリカ軍の将兵達は唖然となった。何とだ。
ネクスンがいたのだ。爆弾の直撃を受けた筈なのに。
五体満足でぴんぴんとしてだ。少しすす汚れた様子でいた。その彼を見てだ。
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