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ヘタリア大帝国

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TURN32 奇襲その二

「あの連中は訳わからないんだね」
「妹ちゃんもなのね」
「っていうか変な国だよね、あそこは」
「だからよ。あそこと戦うことになるわよね」
「そうなるわね。必然的に」
 ハンナはここでは冷静な顔でキャロルに答えた。
「中南米はもうあの国が支配しているから」
「何かねえ。日本はまだわかるけれど」
 だが、だ。その国はどうかというのだ。
「変態ばっかりっていうか。あれ埴輪よね」
「そう。埴輪」
 ドロシーが横からキャロルに話す。
「古代日本の人形」
「何でそれが中南米にあるのよ」
「それは私も知らない」
 このことも謎だった。日本帝国と中南米の接点の問題も。
「聞かれても困る」
「ううん、あそこを攻めるのは嫌だけれど」
「けれど中南米にはかなりの資源があるから」
 それ故にと言うのはクーだった。いつも通り控え目だ。
「太平洋経済圏に加えれば大きいわ」
「じゃああの埴輪も太平洋に入るわけ?」
「ええ」
 その通りだとだ。クーはキャロルにこくりと答えてみせた。
「そうなるけれど」
「どうなのよ。それって」
「どうって言われても」
「無茶苦茶変な連中も入るのね、太平洋って」
「ははは、面白いじゃないか」
 アメリカは埴輪軍団に対しても笑って済ませる。
「何も普通の人間だけじゃ駄目ってこともないからな」
「まあねえ。日本じゃ犬の頭をした犬の神様もいるらしいからね」
 キャロルはまずは柴神について言った。
「あとうちにもね」
「ハワイのあの王様ね」
「あの人は超人って言うのよね」
 キャロルはある人物についてだ。アメリカ妹と共に話した。
「宇宙空間でも平気だし」
「素手で怪獣も倒せるしね」
「あれは正直に凄いわ」
 引きながらもだ。キャロルはその人物を素直に称賛した。
「ガメリカに国を譲ってくれたしね」
「まさかあっさりと譲ってくれるとは思わなかったね」
「ええ。あれは本当に驚いたわ」
 こうした話もするのだった。そして。
 その話の中でだ。ようやくといった感じで大統領であるルースが口を開いた。
 彼はたどたどしい調子でこう述べたのだった。
「ではインドは放っておこう」
「それがガメリカ政府の決定ね」
「うん。私は中帝国には詳しいが」
 ルースは実は親中派だ。あの国とは祖先から縁があるのだ。その為彼の行う政策は中帝国寄りのものが多いのだ。ガメリカの伝統政策であるモンロー政策とはまた別に。
「インドについてはどうもな」
「知らないのね」
「もう少し学生時代に勉強しておくべきだったか」
 ハンナにだ。ルースはこうも言った。
「インドのことは」
「別にいいんじゃないの?だってインドっていったら」
 どうかとだ。ハンナも言ってくる。
「あたしも知らないし祖国ちゃん達もよね」
「そうだな。よく知らないな」
「あたしもね」
 実際にだ。アメリカ兄妹はこうキャロルに答える。
「インドとは付き合ったこともあまりないしな」
「どうって言われても困るんだよね」
「そういうことよ。だからインドは別にいいじゃない」
 独立はしてもらっても、というのだ。キャロルもインドにはこうした考えだった。
「だからミッちゃんの政策には賛成よ」
「そこはミスターよ」
 クーがそっとふざけるキャロルを注意する。
「キャロルは砕け過ぎよ」
「だって祖国ちゃんはそれでいいっていうし」
「祖国さんは祖国さん、プレジデントはプレジデントだから」 
「駄目っていうの?」
「そう。気をつけないと」
「そう。じゃあミスターで」
 クーに言われてだ。キャロルは訂正した。
「これでいいのよね」
「ええ。よく守ってね」
「何か厳しいわね」
「厳しいのじゃなくて常識だから」
 こうしたことは言うクーだった。
 
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