小ネタ箱
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
東方
【加筆修正】幻想郷がソ連に蹂躙される話④
ソ連の最高のスパイであるゾルゲをすでに幻想郷に放っている。フランの手腕に咲夜とパチェリーは絶賛するも、彼女はあまり嬉しそうな顔をしていない。
それを訝しんでいると、なにやら得意顔のレミリアの顔があった。
「こんなこともあろうかと! ゾルゲに幻想郷を探らせていたのよ! こんなこともあろうかと!」
こんなこともあろうかと!とフレーズが気に入ったのか何度も繰り返すレミリアのドヤ顔を見て、内心いらっとしつつもパチェリーは驚嘆した。
「同志書記長の慧眼には恐れ入るわね。それも能力を使ったのかしら?」
「え? そ、そうよ運命を見たのよ!」
実は雰囲気だけでも幻想郷を楽しみたいというレミリアのミーハー根性で送っただけで、ただの偶然である。あわてるレミリアを訝しむも、レミリアは無理やり話題を変えて、ゾルゲとの通信をつなぐことになった。
「お久しぶりです、皆さん」
「久しぶりね、同志美鈴」
モニターには赤い長髪巨乳の美女が映っている。紅美鈴だった。彼女もまたレミリアの最古参の家臣であり家族である。コードネームはゾルゲ。スパイマスターにしてカンフーマスターである。
当然この場にいるメンバーとも仲が良くて私的な場では美鈴と呼ぶことのほうが多かった。彼女の口から詳細な幻想郷の状況が語られる。
ちなみに美鈴を見るたびにレミリアは、その巨乳にエロスだけではなく嫉妬も感じてしまい自己嫌悪に陥るのが常だった。
「――と、いうわけでして。正直なんでソ連に喧嘩売っているのかわからないくらい弱小勢力です。いくつか注意が必要な大妖怪がいますけれどね」
「でもやられたからにはやり返す、倍返しよ!」
「お姉さまの言う通りです。徹底的につぶして圧政から解放してあげましょう」
「素晴らしいわ、同志フラン。軍部はどうなの?」
「軍部もご命令があれば、すぐさま50個師団ほど展開できます」
軍事については咲夜が即答する。ソ連は、欧州から極東にかけて、ユーラシア大陸の北部を占める広大な領土を持っている。
それゆえ、広い領土を守るために、大量の軍隊を必要とした。
防衛の主体となる陸軍はとくに充実しており、機械化狙撃師団――ソ連では歩兵師団を狙撃師団と呼ぶ――400個師団、装甲師団100個師団を持ってる。
総数にして、1000万人を超える、まさに陸軍大国であった。
軍のトップである咲夜は、50個師団つまり100万人程度を常時展開可能にしていたのである。
「さて、では幻想郷に対するアプローチを考えましょうか」
情報が出尽くしたとみたレミリアが、会議の本題に入ることを告げる。
「すぐにでも侵攻し、解放するべきです。人と妖怪の共存共栄を謳いながら、妖怪と人は敵対しています。そのうえ、経済は資本主義という悪魔の思想のようです。存在自体が害悪の屑ですよ」
「私も妹様のご意見に賛成です。国力はわが偉大なるソ連が圧倒しております。ご命令とあらば、すみやかに解放できると考えます」
フランドールと咲夜は、過激な意見を出した。
それに対し、パチュリーは、「別に侵略する必要はないんじゃない?」と言って反論した。
「別に侵略しなくても、外交で片が付くわよ。力の差がありすぎるのだから、こちらが一方的に注文できるわ」
彼女は魔法省の長官だが、外務省の長官も兼任している。
知性派の「動かない大図書館」の面目躍如だった。それゆえか、穏健派の代表になっている。
美鈴もパチュリーの意見に賛成した。どう考えても幻想郷が勝つ未来はない。わざわざ戦わなくとも色々手はある。
スパイらしく暗殺から内乱、クーデターまで具体的な献策をした。
その後も意見が噴出し、フランドールと咲夜 Vs. パチュリーと美鈴の構図で議論が進んだ。
ある程度、選択肢が決まったところで、書記長のレミリアの決断を仰いだ。
「どちらの意見も一理ある。私が目指すのは、幻想郷を赤く染め上げることよ。そのためなら、手段は問わないわ。だから、まずは手間のかからない圧力外交をして、ダメだったら侵攻するとしましょう」
この瞬間をもって、幻想郷の運命決まったのである。
ページ上へ戻る