レーヴァティン
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第百四十話 空の前哨戦その八
「それならな」
「こちらに砲弾が落ちる前に爆発するか燃え尽きるので」
「被害が及ばないからな」
「ですから」
「ここはな」
「はい、そうしたもので攻撃していきましょう」
「そうするか、爆裂弾とか火炎弾は高価にしても」
それでもとだ、久志は考えをあらためて話した。
「空船も高いしな」
「それもかなりですね」
「敵の高価な兵器を潰すんならな」
「高価な武器を使おうとも」
「採算が取れるな」
「そこでお金の話やな」
金に五月蠅い美奈代が笑って話に入った。
「ええことや」
「戦も採算だからだよな」
「そや、確かに爆裂弾とかは高いが」
「空船は桁が違うからな」
「それも二つも三つもな」
「そう考えるとか」
「空船沈める、この場合は撃墜になるか」
空のものだからだとだ、美奈代は少し考えを変えた。
「そうなるか」
「ああ、空だからな」
実際にとだ、久志も答えた。
「そうなるな」
「そやな、それで撃墜しようと思ったらな」
「高い爆裂弾とか使ってもな」
「採算が取れるわ」
「それよりもずっと高いもの相手だからな」
「ええんや、海老で鯛を釣るって言うけど」
美奈代は今度はこの言葉を出して話した。
「海老も実際は安くないやろ」
「そうなんだよな、海老自体美味いしな」
「海老によるけど海老も高い食材や」
「しかし鯛はもっと高いな」
「上等の鯛は特にな」
とりわけというのだ。
「それこそ海老を使ってでもな」
「釣る価値はあるか」
「そや、それでや」
「高い海老を使ってもか」
「遥かに高い鯛を釣る」
「そうした話や、全ては採算でな」
これの問題でというのだ。
「採算が取れるんやったら」
「高いものを出してもいいか」
「それが遥かに高い価値があるならな」
「そういうことなんだな」
「そういうこっちゃ、商売の鉄則の一つで」
それでというのだ。
「戦もな」
「そっちだよな」
「もうここで爆裂弾とか火炎弾使っても」
「いいってことだな」
「そや、ほなな」
「採算が取れるからか」
「敵の空船に爆裂弾や火炎弾使っていこな」
美奈代も笑って言った、そうしてだった。
久志達の軍勢は敵の空船の船団を水上そして空から爆裂弾や火炎弾、術で攻撃していった。すると。
倍の数の空船に陸からの攻撃それに術まで受けてだった。連合王国の空船達は次々に撃墜されていき。
十二隻中六隻つまり半数を失い残りも損害を受けて這う這うの体で逃げ出した、久志はその逃げる姿を見て会心の笑みを浮かべた。
「よし、これでな」
「空から攻められることはなくなりましたね」
「ああ」
まさにとだ、彼は順一に答えた。
「憂いが一つ消えたな」
「そうですね」
「敵の空からの攻撃はなくなって」
「こちらはですね」
「空からもな」
自分達の軍勢の空船を使ってというのだ。
「そうしてな」
「そしてですね」
「攻められるからな」
だからだというのだ。
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