レーヴァティン
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第百四十話 空の前哨戦その六
清音が言った通り十二隻の空船達が魚鱗陣で来た、夕子はその敵艦隊を見てすぐに久志に対して言った。
「来ました」
「ああ、見えてるぜ」
久志は夕子に上空を見つつ答えた。
「はっきりとな」
「それでは」
「敵艦隊に向けてな」
「対空攻撃の開始ですね」
「間違っても味方は撃つなよ」
味方の空船達はというのだ、彼等は上空に半月陣を敷いて待機している。
「何があってもな」
「狙うのはあくまで、ですね」
「敵だよ」
敵の空船達だというのだ。
「あいつ等でな」
「それで、ですね」
「間違ってもな」
「撃つのは味方ではない」
「そういうことでな」
「それでは」
「攻撃開始だよ」
久志がこの言葉を出すとだった、全艦対空攻撃に向けた大砲から砲弾を放った、そして術も放った。
砲弾と術が敵の空船達に弾幕となって迫る、空船達はその中に入ってしまい打撃を受ける。そこにだった。
久志達の軍勢の空船達も攻撃を開始した、彼等は空から大砲と術で攻撃を放つ。それを見てだった。
久志はヴィクトリーの甲板上から言った。
「よし、いい流れだな」
「こちらの攻撃は効いていますね」
「敵はまだ攻撃をしていなくてな」
それでというのだ。
「こっちは攻撃をはじめられた」
「いいはじまりですね」
「それじゃあな」
夕子にさらに言った。
「ここはな」
「このままですね」
「攻めていくな、爆裂弾とか火炎弾もな」
こうした砲弾もというのだ。
「使ってな」
「そうしてですね」
「そしてな」
そのうえでというのだ、
「敵の空船を壊滅させるな」
「全艦沈めますか」
「そうでなくてもかなりの打撃を与えてな」
そうしてというのだ。
「あっちの空の戦力を使えなくするさ」
「そしてこちらは」
「空の戦力をそのまま使うな」
そうした状況にするというのだ。
「ここで」
「そうお考えですね」
「敵の戦力は叩ける時に叩かないとな」
これは久志がこれまでのこの世界での戦から理解したことだ、さもないと今後の戦局に自分達にとって悪影響が出るからだ。
「それでだよ」
「この機会を逃さずに徹底的に叩きますね」
「今みたいにな、しかしな」
「しかし?」
「いや、対空砲戟をやってるけれどな」
この攻撃についてだ、久志は今度は話した。
「効果はあってもな」
「それでもですか」
「本来は敵船とか陸地に向けて撃つ大砲だからな」
それでというのだ。
「空に向けて撃つにはやっぱり無理があるか」
「そのことですか」
「だから命中度も落ちるし距離もな」
砲撃のそれもというのだ。
「今一つだな」
「それは仕方ないですね」
このことはとだ、源三が応えてきた。
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