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オズのハンク

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第一幕その一

               オズのハンク
             第一幕  驢馬と少女の語らい
 ベッツイ=ボビンはエメラルドの都の宮殿の中で驢馬ノハンクと一緒にいました、そこで彼女はハンクにふと言いました。
「今度ピラミッドに行かない?」
「都にあるあそこに?」
「そう、エメラルドの都にあるね」
 そこにというのです。
「行かない?」
「そういえばね」
 ハンクはベッツイの提案を聞いて言いました。
「僕達色々冒険に出てるけれど」
「オズの国のあちこちにね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「エメラルドの都にはね」
「冒険に出ていないわよね」
「大抵周りの四つの国のね」
 マンチキン、ギリキン、ウィンキー、カドリングのです。
「何処かに行ってるね」
「周りの島々とか」
「そうだよね」
「そう考えたら」
 本当にとです、ベッツイも言いました。
「たまにはね」
「都の中で冒険をするのもいいかな」
「そう思ってよ」
 だからだというのです。
「私も今言ったのよ」
「そういうことだね」
「それでどうかしら」
 あらためてです、ベッツイはハンクに言いました。
「今度はピラミッドに行くってことで」
「そうだね、じゃあね」
「皆でだね」
「行きましょう」
「それじゃあ早速一緒に行く人を探すんだね」
「そうしましょう。ただね」
 ここでこうも言ったベッツイでした。
「一緒に来てくれる人を探しても」
「誰が一緒に来てくれるかはね」
「まだわからないわね」
「僕達二人だけだとね」
 ハンクはこうも言いました。
「やっぱり寂しいしね」
「どうしてもね」
「僕達二人は一緒にこの国に来たけれど」
 オズの国にです。
「それでもね」
「二人だけだとね」
「やっぱり寂しいね」
「楽しさも限られるわよね」
「大勢の方がいいからね」
「だからよ」
 それ故にというのです。
「私もね」
「誰かを誘おうっていうんだね」
「そうよ、誰と一緒がいいかしら」 
 こうしたお話をしているとでした、ふとです。
 二人が今いる王宮の中庭の隅で一人の水兵の服を着た男の子が寝ているのが見えました、その子はといいますと。
「ボタン=ブライトだね」
「いつも通り急に出て来たわね」
 ベッツイも彼の姿を見て言います。
「本当に」
「そうだね」
「気付いたら王宮の中庭で寝ているなんて」
「彼ならではだね」
「本当にね」
「そうだね、けれど」
 それでもと言うハンクでした。
「折角ボタン=ブライトと会ったし」
「それならよね」
「うん、彼を誘う?」
「いいわね」
 微笑んで、です。ベッツイはハンクに答えました。 
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