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東京の鯉女

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第六章

「今年はね」
「僭主の流出なかったしね」
「踏ん張って戦って」
「それで勝つのね」
「そうしていくわ」
 こう言うのだった、そのうえで。
 すみれはまた焼酎を飲んだ、そしてお好み焼きを食べつつ話した。
「やっぱり一枚目はね」
「お好み焼きは広島ね」
「そっちなのね」
「これを食べてね」
 そしてというのだ。
「二枚目よ、もっとも二枚でね」
「お腹一杯よね」
「女の子はね」
「どうしてもそうなるわね」
「それは仕方ないわね」
「そうよね、けれど大阪のお好み焼きもね」
 これもというのだ。
「捨て難いのよね」
「そうそう」
「そっちも美味しいわね」
「大阪って言えばやっぱり阪神だけれど」
「その大阪のもね」
「お好み焼き美味しいわね」
「そうなのよね、だから普段はね」 
 その広島風のお好み焼きを食べつつ同僚達に話した。
「一枚目は広島風で」
「二枚目は大阪風」
「そうしてるのね」
「ただ焼きそばも捨て難いわね」
 こうも言うすみれだった。
「こっちも」
「そうそう」
「焼きそばの美味しさもね」
「あれも中々以上にね」
「捨て難いわよね」
「どうしても」
「そこが困るのよね」
 すみれはまた焼酎を飲んで言った。
「どうも」
「お好み焼き屋さんってね」
「広島とか大阪とか離れるけれど」
「野球もね」
「そうよね、そういえば野球観戦しながらカップ焼きそば食べて焼酎飲んだら」
 尚すみれはビールはあまり飲まない、強い酒を好むのだ。だから今も焼酎を飲んでいるのである。それもごくごくという感じで。
「いいわよね」
「そうそう」
「それもいいわよね」
「おっさんみたいだけれど」
「悪くないわね」
「カープの試合観ながらだと」
 ここでもカープの名前を出すのは流石だった。
「最高よね」
「それで勝ったらよね」
「もっとよね」
「いいのよね」
「本当にね」
 同僚達も笑顔で話す、そしてだった。
 さらに飲んで食べる、それでカープの話をさらにするのだった。


東京の鯉女   完


                 2020・1・25 
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