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今年も同じく

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第六章

「そうならね」
「いいよな、けれど巨人より上になる為にも」
「交流戦は一勝でも多くね」
「勝たないとな」
「優勝出来ないわよ」
「巨人の優勝はなくてもな」
 この忌まわしいチームのそれがないことは人類にとってよいことである、だがそれでもというのだ。
「横浜とかな」
「他のチームがいるからね」
「正直野球ってどのチームが優勝してもおかしくないんだよ」
「そうそう、実はね」
 千佳は兄のその言葉に頷いた。
「パリーグもそうだけれど」
「最下位だったチームがいきなりな」
「日本一とかね」
「そうしたことだってあるしな」
 無論その逆もだ。
「だからな」
「その辺りはね」
「交流戦でもな」
「本当に一勝でも多くよ」
 それこそというのだ。
「勝たないとね」
「駄目なんだよな」
「去年みたいな負け越しはね」 
 それも大いにだ。
「避けたいわね」
「本当にそうだよな」
「まだキャンプもはじめってないけれど」
「交流戦も頑張って欲しいな」
「全くだな」
 二人でこんな話をするのだった、寿も千佳もそれぞれの愛するチームの日本一を確信していた、だが交流戦ではもっと勝って欲しい、その切実な思いもあった。
 それでだ、寿はこんなことを言った。
「明日も初詣行くか」
「それでなの」
「今度は交流戦お願いに行くか」
「私も行こうかしら」
 千佳もこう考えた。
「流石に厳島は無理だけれど」
「それでもだな」
「また行こうかしら」
「そうだよな」
「おい、二度目は初詣じゃないぞ」
 話す二人におとそを飲んでいる父が言ってきた。
「それじゃあ」
「ああ、そういえばそうか」
「そうよね」
 兄妹も父の言葉に頷いた。
「そういえば」
「そうだよな」
「けれどお参りは出来るからな」
 初詣ではなくてもとだ、父は自分の子供達にさらに話した。
「また明日行って来るか」
「そうしようかな」
「交流戦勝って欲しいし」
「次は何処に行くか」
「どうしようかしら」
「住吉さんはどうだ?」
 父は大阪のこの大社を勧めた。
「そうしたらどうだ」
「ああ、住吉か」
「そういえば最近あっちにも行ってないし」
「明日はあそこに行くか」
「そうね」
 兄妹でそうした話をしてだった、今度は二人で住吉大社に参拝した。そのうえで今度は交流戦のことをお願いするのだった。


今年も同じく   完


                     2020・1・24
 
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