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今年も同じく

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第四章

「僕の血液は黒と黄色なんだから」
「阪神の色ね」
「そうだよ、カープにだって負けないよ」
 このチームにもというのだ。
「絶対に」
「言うわね、けれどね」
「けれど?」
「風邪ひかないようにしなさい」
 母はこのことは真面目に話した。
「いいわね」
「あったかくしてだね」
「そうしてね」
 そのうえでというのだ。
「初詣行ってきなさい」
「うん、それはね」
「千佳にもメールで行ったし」
 風邪には注意しろとだ。
「厳島は海だから」
「冷えるからだね」
「そう、余計にね」
「やれやれ、あいつも熱心だよ」
「あの娘はあの娘で自分の血は赤いって言ってるわ」
 寿と同じ様にとだ、母は自分の息子に告げた。
「カープの色だって」
「普通血は赤いよね」
「それでもそう言ってるわよ」
「そういえばそうだったかな」
「ええ、まあ元旦から身体壊すとか縁起でもないから」
 それでというのだ。
「気をつけて行きなさい」
「それじゃあね」
 寿は千佳の言葉に頷いた、そうしてだった。
 神戸の自宅から西宮の神宮まで行ってそこで初詣を行ってだった。
 阪神タイガースの日本一を心から祈願した、その後は出店で色々なものを買って飲み食いをし遊んで帰った。
 夜になると千佳も帰ってきた、千佳は寿に紅葉饅頭を差し出しつつこんなことを言ってきた。
「じゃあ今年はね」
「カープがか」
「日本一になるから」
 だからだというのだ。
「残念ね」
「だからいつも言っているだろう?」
 寿も負けずに帰す。
「そうなるのは阪神だよ」
「やっぱりそう言うわね」
「当たり前だろ、阪神に勝てるチームがあるか」
「カープがあるでしょ」
「言ってくれるな、交流戦で落ちるなよ」
「そっちこそね、何で交流戦なんてのがあるのよ」
 二人共交流戦についてはこう述べた。 
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