恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十九話 呂蒙、陣を組むのことその一
第七十九話 呂蒙、陣を組むのこと
連合軍は洛陽に向かう。その進軍は予想通りだった。
「うう、やはりわたくしが前に出なくてはいけませんわね」
「だから何でそうなるのよ」
袁紹にだ。隣にいる曹操が呆れた顔で突っ込みを入れた。
「あのね、私達は第二陣よ」
「それはわかっていますわ」
「先陣は劉備。あの娘の軍が前に出て当然でしょ」
「それはそうですけれど」
「じゃあいい加減大人しくしなさい」
ぴしゃりとした口調での言葉だった。
「いいわね。今はね」
「うう、何かじれったい感じですわね」
顔を顰めさせて言う袁紹だった。
「どうも。戦となりますと」
「全くですね」
その袁紹に賛成したのは夏侯惇だった。彼女は二人のすぐ後ろに馬を進めている。その彼女が袁紹のその言葉に対して頷いてきたのだ。
「やはり将は垂範で」
「その通りですわ。だからこそ前線に立たなければなりませんわ」
「総大将がですか?」
勿論夏侯淵もいる。彼女は冷静に袁紹と夏侯惇に突っ込みを入れる。
「前線に立たれるのですか」
「その通りですわ」
「私はいつもそうしているではないか」
夏侯惇は己のことを引き合いにして話す。
「それが悪いのか」
「姉者はそれでいいのだ」
夏侯淵は姉はいいとした。しかし袁紹についてはだ。
困った様な光を左目に浮かべ。そうしての言葉だった。
「ですが麗羽殿は」
「わたくしも将ですわよ」
「総大将がそれでは困ります」
彼女は正論を言うのだった、
「総大将に何かあっては話になりませんしそれに」
「それに?」
「軍全体を見なければなりません」
このこともだ。袁紹に話すのだった。
「ですからあまり前線に出られては」
「ううむ、いけませんのね」
「はい、御自重下さい」
まさにそうしてくれというのである。
「どうかここはです」
「うう、仕方ありませんわね」
「秋蘭の言う通りよ」
曹操がここでまた袁紹に話す。
「あのね、第二陣でも軍全体を見るのは難しいんだから」
「前に出るのはいけないというのですね」
「そうよ。劉備達に任せるの」
あくまでこう言うのだった。
「わかったわね」
「わかりましたわ。それでは」
ようやく納得した袁紹だった。そうしてだ。
彼女は進軍の指揮を執っていた。その指揮自体は的確だった。
「指揮自体はいいんだよな」
「そうなのよね」
文醜と顔良が袁紹の後ろで話している。
「麗羽様ってな」
「これでムラッ気とか出たがりなところさえなければ」
「最高の君主なのにな」
「どうしてこうなのかしら」
「昔からだ」
夏王淵がその二人に話す。
「麗羽様は昔からああした方だ」
「そういえば夏侯淵さんってあれだよな」
「麗羽様とは幼い頃からですよね」
「そうだ。いつも一緒だった」
このことをだ。二人に話すのである。
「何かとな」
「厄介だった」
「そうなんですね」
「ムラッ気と出たがりな方だった」
そのことは変わらないというのである。
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