恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十八話 呂布、晴れないのことその六
「敵は東から来るだけじゃない」
「涼州のことね」
「袁紹の兵はそこにもいる」
呂布が話すのはそこもだった。
「そっちには」
「ええ、勿論兵を回しておくわ」
賈駆はその眼鏡の奥の目をやや顰めさせて述べた。
「当たり前でしょ、それは」
「わかった」
呂布はそれを聞いてこくりと頷いた。
「それならいい」
「そういうことでね。じゃあ万事整ったわね」
「では出陣なのです」
「僕も都に残るから」
賈駆もだ。留守役だというのだ。
「月もいるから」
「?待て」
そのことを聞いてであった。華雄はだ。
眉を顰めさせてだ。その賈駆に言った。
「董卓殿は出陣されないのか?」
「そうだけれど。それがどうかしたの?」
「董卓殿は確かに生粋の文官だ」
それを踏まえての話だった。
「だが。それでもだ」
「それでもって?」
「出陣されて兵を見守られるのが常だが」
牧としての義務と考えてだ。そうしているのだ。実際の指揮は華雄達が行うので問題はないのだ。
「それをされないのか」
「ちょっとね。帝に言われてね」
「その帝のお姿も見えないのだが?」
華雄はこのことも言った。
「どうされておられるのだ」
「御身体の調子が悪いのよ」
そうだと話す賈駆だった。
「だからね。帝は」
「そうなのか」
「そうよ。それでとにかくね」
賈駆は眉を顰めさせてまた言った。
「皆御願いね。それじゃあね」
「わかったのです」
陳宮が頷いた。
「それでは今から」
「出陣御願いね」
こうしてだった。呂布達が出陣に向かう。その中でだ。
山崎はだ。実に楽しそうに言うのだった。
「よし、それじゃあ暴れるか」
「ああ、そうだな」
「そうするでやんすよ」
彼の言葉にチャンとチョイが楽しそうに応える。
「やっと大暴れできるな」
「この時を待ち望んでいたでやんすよ」
「ずっとキムの旦那とジョンの旦那の修業地獄の中にいたからなあ」
「それがとりあえず終わるでやんすよ」
そのことをだ。心から喜んでいる二人だった。
そしてだ。こんなことも言うのだった。
「このまま戦死ってことになって何処かに消えるとかな」
「そういうのも悪くないでやんすよ」
「ああ、それいいな」
山崎もだ。彼等のその話に乗った。
「じゃあ適当な場所でな」
「何処かに消えるか」
「あっし等にやっと自由が戻るでやんすよ」
こんな話をしていた。しかしだった。
ここでその二人が来てだ。彼等に言うのだった。
「ああ、三人共そこにいたか」
「喜んで下さい、朗報です」
「朗報?」
「休暇でやんすか?」
「私達は先陣になった」
「真っ先に敵と戦うことになりましたよ」
二人は笑顔で三人にこう話す。
「そして関の壁の修理もだ」
「受け持つことになりました」
強制労働まであるというのだ。
「これは働きがいがあるな」
「頑張りましょう」
「これが現実だな」
山崎は二人の話を聞いてだ。がっくりと肩を落として言った。
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