あべこべ道! 乙女が強き世界にて
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第5話 学食とサークル
「いやぁ、ここの海鮮丼美味しかったねー。これで500円はコスパいいわ!」
「大洗名物のあんこう定食、それにこのアンコウ鍋焼きうどんも美味でしたよ」
「デザートも豊富だな。今年から大量にメニューを増やしたらしいが、大学側も露骨に男子受けを狙ってるようだな....」モグモグ
「もー、麻子、食べながら話さないの! 御行儀悪いよ!」
「たしかに、こちらの干し芋アイスも美味ですねぇ...」
「え、ええ...」
(1人で定食4つ食べる人初めて見た...)
五十鈴さんを加えた4人で大学の食堂に来た。噂通り近くの海鮮物をふんだんに使った料理はかなりレベルが高く箸が進んだ。だがそれ以上に五十鈴さんの食べっぷりに圧倒されてそれどころではなかった。現在は締めのデザート中。
「ん? どうしました?私をじっと見て...紫芋アイスはお口にあいませんでしたか?」
「い!いえ!とても美味しいですよ!あははっ...おいしーなー」
(『五十鈴さんよく食べますね』なんて言ったら殺されるのかな)
「...気にするな、お前が言わんとしてることはわかる。あいつの食欲を見て驚くなという方が無理がある」
「これでも普段の半分くらいに抑えてるもんねー。全く、その細い体のどこに入ってるんだか」
「えっ!? 半分...? 冗談ですよね?」
「もー、沙織さんそれはないですよ」
「で、ですよね!」
「普段の1/3くらいです。この後学生自治会のお食事があるので」
(フードファイターかな?)
ーーーーー
「ふー、食べた食べた。...さて、みんなこの後どーするの?私はサークルの見学行くつもりなんだけど... 華は自治会行くんだっけ」
「そうですね。名残惜しいですが、今日はここでお暇させて戴きます」
「私もおばぁの病院に行かないといけなくてな。悪いが今日は帰らせてもらうぞ」
「あ、自分もサークル見学でも行こうかなと思ってます...できたら一緒に行きませんか?」
「いいねー、一緒に行こー!」
「はい!ありがとうございます!...ただ、朝の一件がちょっとトラウマで...」
「あー、じゃあグイグイくるとこは河野ちゃんには厳しそうだね、運動部とかはじゃあなしだねー」
「そうですね...それに、元々運動部はあまり考えてはいませんでしたし...」
「あら、では河野さんはどんなサークルにご興味があるんですか?」
「どんな...そうですね...」
(この世界の情報収集も踏まえたサークルに入りたいな...となると)
「色々と戦車道の知識や歴史に詳しい方がいるとか、それを扱ってるサークルを見てみたいなって思ってます」
(まずは見識者の知り合いを作りたいしな)
「ふふっ...それならぴったりのサークルがございますよ」
「ほんとですか! 詳しく教えてください!」
「ええ、部室の場所が....」
ーーー大洗大学 西校舎 部室
「よしっ、踏破! これで全国制覇ぜよ!」ピコピコ
「うわーん、また負けてしまいましたー!」ピコピコ
「相変わらず弱いなぁグデーリアン」
「くっ...もう一回!もう一回お願いします!」
「いいだろう、かかってくるぜよ」
「はぁ...相変わらずといえば、このメンツも大学生になったというのに全然変わらんなぁ」
「そういえば...噂だと我が校にも初の男が来たらしいぞ、ファーストなんたらって...」
「らしいですねー。まぁ我々には関係ないですけどねー」ピコピコ
「なっ...ここで消極的になってどうする!女は度胸!こういう時こそロンメル将軍を見習ってだな...」
「負けるが勝ち戦法ぜよ。ただでさえ競争率高いだろうに...負け戦以前にお姿を拝見する機会すらないかもしれないぜよ」
「そうそう、大学に入ったからにはそんなものにうつつは抜かさず、将来のために教養を高めるべきでありますよ」
「いうなら、クドゥーツフの大戦略だな」
「いや、孫氏の戦法がわかりやすい」
「豊臣秀吉の思想が的を得ている」
「「「それだ!」」」
「お前らそれでいいのか!?」
コンコンッ
「ゆかりーん、ちょっといいー?」
「はいはーい、いま出るでありますー」ガララッ
「あー武部殿! どうしたでありますか?」
「今日ってさサークルの見学とかってできたりする?」
「もちろんやってるでありますよ!...と言っても特に何か用意してるわけではないですが...えへへ。あっ、見学して行くでありますか?」
「あーいや! 見学したいのは私じゃなくてー...この子なんだけど...戦車道とか歴史系に興味あるんだって!」
「もちろん歓迎でありま...ってええ!? 男の子!?」
「よかった! じゃあ悪いんだけどよろしく!」
「よろしくってっ...武部殿は!?」
「ごめーん! お願いねー! あっ!めっちゃいい子だから心配しないでー!」
「ちょっとー!!そういう問題では...」
「あの...すみません、ご迷惑でしたら別の日でも...」
「い、いえ!全然大丈夫です!多分... ちょっと待っててください! すぐ準備しますから!」パサッ
「あ、はい! お気になさらずに!」
(ん? 何か落としたぞ...? ハンカチ?)
ガララッ
「えー、皆さま、我がサークルに初の見学希望者が来たのであります...」
「なに! それは吉報だな! 歓迎しよう」
「同学年か? 物好きな奴もいたもんだ」
「どんな女であれ、我々は拒まないぞ? 歴史好きに悪い女はいないしな」
「あー...えーっとそうじゃなくて...」
「歯切れが悪いな、どうしたグデーリアン、我々は構わん、入らせていいぞ?」
「あー、じゃあ心の準備だけ...」
カラカラ
「あ、あのー...ゆかりさん? ハンカチ落としましたよ?」ヒョイ
「あっ...ちょっ」
「「「「ええええええええ!? 男の子!?」」」」
ーーーーー
「こ、ここの椅子に座るであります...」
「あ、ありがとうございます。えっと...なぜ皆さんは正座で地べたに...?」
「き!気にしないでください!我々はこちらの方が落ち着くので!とりあえず軽く自己紹介をお願いするであります!」
「え、あ、はい!大洗大学一年、河野って言います。よろしくお願いします...」
「...ほ、本物か? 我々は白昼夢を見ているのでは...」
「夢でも十分幸せぜよ...」
「あ、気のせいかなんかいい匂いする気がする」
歴史のポスターとゲーム機が散乱している部室には真ん中に長机と椅子が置いてあった。午前中の女の人たちとは打って変わって全くこちらに近付こうとはせず、何か警戒しているのか全く目を合わせてくれない。
(まあ、これが普通の反応だよな、俺だって急に女子きたら緊張するし...)
「お、おほん。では我々も軽く自己紹介するであります。私、秋山優花里と申すであります。好きな分野は戦車全般です。では皆様も...」
一通り名前と、それぞれの得意分野について教えてもらった。
秋山さんが戦車道関連、他の4名が歴史関連で詳しいメンツで集まっているようだ。うん、確かにこれは期待ができる。あの3人の人脈に救われたな。
「皆さん、よろしくお願いします!」
(外国人の方もいるのかな...? まあ、今は突っ込まないでおこう...)
「あー、じゃあえっと...不躾ですがどうして我が部に?」
「実は、戦車道と歴史に興味がありまして! 優花里さん含め皆さんお詳しい方とお知り合いになれるサークルがあればなーと思いまして」
「な、なるほど...。確かにそれなら我がサークルはぴったりではありますが...いいのでありますか? 自分たちで言うのもなんですが活動内容は地味ですし、退屈かもしれませんよ?...今日だってゲームやってるだけでしたし...」
「むしろその方が嬉しいです!...正直グイグイ来られる方々が少し怖くて...。仲良くなれたら、サークル外でもその...色々と教えてくれると嬉しいなって思ってます!」
「色々と...」
「教える...」ゴクッ
「? 皆さんどうしました? 俺、何か変なことでも...」
「あー! 気にしないでください!! ほんと! なんでもないであります!」
「え、ええ...わかりました」
(一瞬全員の目が怖かったのは気のせいか...)
「それにしても、よく我々がサークルを新設したことを知っていたでありますな。ご興味ないと思ってお伝えもしてなかったのに」
「実は一緒にいた五十鈴さん、という方が学生自治会をやられていて...部室の場所とかを教えていただきました。その場にいた武部さんには親切心でここまで連れて行ってもらいまして...優花里さんのことについても少し教えていただきました」
「あーなるほど。それで武部殿と...というか何故下の名前で...?」
「あ、すみません。武部さんからそう呼んだ方がいいと言われたので...ご迷惑でしたか?」
ドキッ「い、いえ! 全然! むしろ嬉しいというか...あ、いや変な意味じゃなくて! 」
「よかった! じゃあこれからも是非仲良くしてください、優花里さん!」ギュッ
「ふぇっ!?あっ!よ、よろしくお願いするであります!」
(近い! 近いであります!! あ、でもいい匂いする...じゃなくて!)
ガタッ「じ、実は私、本名は里子という名前なのだが...そ、そう呼んではくれないか?」
「なっ! エルヴィン!貴様!ソウルネームを捨てるのか!?」
「う、うるさい! ひなちゃんとやらがいるお前にはわかるまい! 名前呼びは女の夢だ!」
「もちろんですよ!よろしくお願いします、里子さん」
「あっ...すごい、なんだこの破壊力、マウスの砲撃並だ...」
ガタッ「じ、自分も武子と呼んでくれぜよ!」
「私も清子で...」
「き、貴様らまでーっ!! 誇りはないのか!!...そ、それに河野さんだって迷惑だろうに...」
「いえ、全然構いませんよ!これから色々とお世話になるかもしれませんし!」
「ま、まあ河野さんがいうなら...まったく、お前ら、いい人だったからいいものを...厚かましいにもほどがある!初対面だぞ!」
「まあまあ、名前で呼んでいただいた方が親近感も湧きますし...」
「そ、そうぜよ! これはあくまで仲良くなるための工夫ぜよ!」
「いいわけなんぞききたくない! 大体、ソウルネームというものはだな...」
「あ、カエサルさん...はそのままでいいですか? お名前でお呼びしても全然...」
「えっ!?...えーっと...」
「なんでも構いませんよ」
「じゃ、じゃあ...たかちゃんで...えへっ」
「「「「お前が一番厚かましいわ!」」」」
(...面白い人達でよかった。この人たちなんか男子高時代を思い出すノリだなー)
意外にも奥手な人には小悪魔気質な河野さんであった。
ーーーー
???「へぇ、大洗大学に男がねぇ...。直々にどんな奴か会いに行ってあげようかしら」
後書き
感想、ご意見気軽にください。励みにします。
〇〇出して欲しい、〇〇はこう言う設定がいい等も嬉しいです。
参考にさせていただきます。
基本的にガルパンのキャラは全部okです。
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