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ヘタリア大帝国

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TURN26 親衛隊その一

                          TURN26  親衛隊
 ロンメルはベルリンに戻った。ベルリンは変わっていなかった。
 活気に満ち市民の動きはキビキビとしていた。労働とそれによる充実に満たされており彼等の顔は明るかった。
 街にはレーティアの写真や歌があちこちに飾られかけられていた。飛ぶ鳥を落とす勢いのドクツの首都に相応しい場所だった。
 そのベルリンの彼の私邸、猫がいるその私邸、元帥のそれとはいえ一人暮らしであるが為かそれとも彼の性格故か質実剛健なドクツの文化のせいか質素なそこに戻るとだ。ドイツ妹が待っていた。
「戻られましたね」
「ああ、妹さんか」
「はい、兄さんは今総統閣下とお話中で」
 それでだ。彼女が代理でいるというのだ。
「そのノイツィヒ=ヒムラーさんと一緒に待たせてもらっていました」
「済まないな、待ってもらって」
「いえ、御気遣いなく」
 ドイツ妹は微笑んでロンメルに答えた。
「それよりもです」
「そうだな。彼は元気か」
「リビングにおられますがそちらに赴かれますか」
「行こう。では妹さんも一緒にな」
「はい、お話ですね
「そうしよう。しかし楽しみだ」
 ロンメルの顔は綻んでいた。彼もそれを隠していない。
「旧友に会えるとはね」
「ヒムラーさんもそう仰っていましたよ」
「実は俺と彼は士官学校の同期でね」
「その様ですね」
「士官学校の同期の絆は深いものがある」
 これはどの国でも同じだ。士官学校の横のつながりはかなり強く深い。寝食も苦労も共にするということはそれだけの絆を作るのだ。
 そしてそれ故にだ。ロンメルはドイツ妹に言うのだった。
「だからな」
「御会いするのが楽しみなのですね」
「かなりね。それじゃあ」
「ではリビングに」 
 ドイツ妹とこうした話をしてだ。そのうえでだ。
 ロンメルは自分の家のリビング、客室はない。彼の家はとかく質素である。官邸は各国の高官とも会うのでそれなりだが。その質素な家のリビングにおいてだ。旧友と会った。
 黒い髪に目の優男だ。背はそれなりにあるが線が細い。だが筋肉はしっかりしている。
 髪はセンターに分けている。服はもうドクツ軍の軍服である。しかし着こなしは軍人のそれではなくホストを思わせる。その彼が笑顔でロンメルに言ってきた。
「ロンメル、変わってないな」
「君の方こそな」
 二人は立って握手をし合った。それからだ。
 ロンメルは彼、ヒムラーにだ。こう問うた。
「しかし君は今までどうしていたんだ」
「ああ、そのことか」
「経済的には困っていないと聞いたが」
「実は養鶏場を経営していたんだ」
「養鶏場?軍人から随分変わった転進だな」
「ははは、親戚の経営していたのを継いだんだ」
 このことは事実である。
「士官学校を退学してからすぐにね」
「じゃあ士官学校を辞めたのは」
 養鶏場をやる為だとロンメルは考えた。
 だがヒムラーはそのことには答えずにだ。すぐにロンメルにこう言ってきた。
「それでだけれどね」
「それで?」
「親衛隊のことだよ」
 ヒムラーからだ。このことを話したのだった。
「俺もね。総統閣下のファンだったんだよ」
「そうか。だからか」
「その有志を募って親衛隊を結成したんだ」
「養鶏場をやりながらか」
「養鶏場も大きくなってね。俺以外のスタッフも集まってね」
 ヒムラーは身振り手振りを交えながら話していく。見ればその両手は白手袋で包まれている。ロンメルはふとその手袋についても問うた。
「手袋は脱がないのかい?」
「ああ、これだね」
「君は以前はいつも手袋をしてはいなかったが」
 士官学校時代の話である。
 
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