ドリトル先生の林檎園
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第九幕その十二
「死んで欲しくなかったよ」
「頼朝さんは身内を殺して自分の立場を固めた人なのね」
「家臣の人も結構殺してるみたいだし」
「どう考えてもいい人じゃないよね」
「不人気なのも当然ね」
「そんな人だとね」
「そう、だからね」
先生も言うことでした。
「義経さんは日本では好かれていても」
「頼朝さんとにかく人気ないね」
「漫画とかでもほぼ悪役だし」
「日本の歴史上トップクラスよね」
「相当に人気ないわよね」
「とにかく評判悪いから」
「義仲さんも殺してもう一人の弟さんの範頼さんも殺して」
そしてというのです。
「平家は勿論だったし」
「家臣の人達でもね」
「どうかって思ったらすぐだったし」
「じゃあね」
「人気ないのも当然ね」
「鎌倉幕府自体がね」
その頼朝さんが開いた政権です、関西の神戸にいる先生達にとってはどうにも馴染みのない鎌倉にありました。
「北条家も謀略や粛清が多くて」
「頼朝さんの奥さんの実家の」
「あのお家もだったのね」
「後で実質幕府を動かす様になった」
「あのお家ね」
「執権になったね、有力な豪族を結構滅ぼしてるから」
頼朝さんみたいにというのです。
「明るい感じはしないね」
「どうしてもね」
「江戸幕府はそうじゃないのにね」
「同じく関東にあったけれど」
「幸村さんと戦ったけれど」
「長い間平和で落ち着いていたし」
江戸幕府の頃はというのです。
「やったことも血生臭くなかったよ」
「鎌倉幕府みたいにね」
「だからそんなに評判も悪くないのね」
「家康さんにしても」
「幕府を開いた人も」
「そうだよ、けれど今はその幕府の敵だった幸村さんのことを思いながらね」
またこねつきを食べる先生でした、幸村さんの好物だったそれを。
「そのうえでね」
「うん、こねつき食べようね」
「このお餅をね」
「美味しいしね」
「そうしようね」
動物の皆も応えます、そうして優花里さんの林檎料理のことも考えるのでした。退院するお友達に贈るそれのことも。
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