ドリトル先生の林檎園
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第九幕その八
「退院した時とか学校のこととか」
「そうしたことをだね」
「お話してましたけれど」
「優花里さんは友達思いだね」
「そうですか?普通ですよ」
優花里さんの返事はあっさりしたものでした。
「だって友達ですから」
「いや、毎日お見舞いに行くとか」
「普通じゃないですか」
「優花里さんはいつもそうしているのかな」
「友達や家族が入院したら」
その時はというのです。
「そうしています」
「それが出来ることは素晴らしいことだよ」
「普通じゃないですか」
「そのこと自体がね」
「そうですか」
「お友達も感謝してるよ、そして」
さらにでした、先生は優花里さんにお話しました。
「アップルティーや林檎のお菓子をご馳走してくれるなら」
「余計にですか」
「感謝してくれるよ」
「そうですか、けれどあたしは」
「そうしたこともだね」
「自分がされたら嬉しくてお礼を言いますけれど」
それでもというのです。
「普通だと思います」
「人に対してするのならだね」
「はい」
その通りという返事でした。
「そう思います」
「そうしたことが出来てそう考えられることが普通じゃなくて」
「素晴らしいですか」
「そうなんだよ」
「そんなものですか」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「その心をずっと持っていると」
「いいことがあるとか」
「あるよ、優花里さんは素晴らしい人生を歩めるよ」
「そうですか」
「そうした素晴らしい心を黄金の精神というけれど」
この言葉は先生が日本に来た時に知りました、素晴しい心をそう表現するということをです。先生が大好きな言葉の一つです。
「それを持っている人は必ずね」
「いい人生を歩めますか」
「そうした人は心ある人が放っておかないし」
それにというのです。
「何よりも神様がね」
「放っておかないですか」
「それぞれの宗教のね」
「あっ、あたし家は禅宗なんです」
「仏教だね」
「じゃあ仏教の仏様がですか」
「護って導いてくれるから」
そうなるからだというのです。
「必ずね」
「いい人生を歩めますか」
「そうなるからね」
「この心を忘れない」
「そうするといいよ」
「そうですか、じゃあ普通と思ってることを」
「優花里さんがね」
まさにご自身がというのです。
「忘れないでいてね」
「わかりました」
優花里さんは先生ににこりと笑って応えました。
「そうさせてもらいます」
「是非ね」
「これからも」
こう先生にお話してです、その後は皆でお昼にお蕎麦を食べました、そのデザートは真田幸村さんが愛した食べものこねつき餅でしたが。
そのお餅を食べつつです、動物の皆は先生に言うのでした。
「優花里さんにいいこと言ったね」
「その通りだよ」
「黄金の精神はその人自身を助けてくれる」
「優花里さんはそうで」
「忘れないでいて欲しいんだね」
「是非ね。人にとって何が一番素晴らしいものか」
それはといいますと。
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