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レーヴァティン

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第百三十六話 鹿児島攻めその一

               第百三十六話  鹿児島攻め
 英雄は自ら三万の兵を率いて薩摩半島を攻めていっていた、薩摩には大した城や砦はなかった。だが。
 敵は刀や鉄砲を手に少数でも来た、それは今もだった。
 いきなり横から来た敵軍を見て英雄は周りに問うた。
「数はどれ位だ」
「百もいないかと」
 すぐに傍にいた旗本が答えた。
「あの数では」
「こちらは三万だがな」
「数なぞものともせず来たかと」
「そうか、ならな」
「こちらはですね」
「鉄砲と術を使える者達でだ」
 そうした兵達でというのだ。
「迎え撃つ」
「そうしますね」
「槍も出してだ」
 そちらもというのだ。
「敵を寄せ付けるな」
「そうして戦いますね」
「百もいないならだ」
 それだけの数ならというのだ。
「全軍で戦うこともない」
「進軍を止めることもですね」
「ない、そこにある兵二千もあれば充分だ」
 英雄は数の話もした。
「それでだ」
「迎え撃ち」
「退ける」
「そうしますね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「このまま進軍を続ける」
「わかりました」
「今日はこれで三度目だが」
 敵が来たのはというのだ。
「全てあれ位だな」
「百人いるかいないかですね」
「まさにそれだけのな」
「寡兵ですね」
「そればかりが来る」
 英雄はその敵兵が掛け声と共に突っこんで来るのを見ていた、彼等は立ち止まることなくこちらに駆けてくる。
 英雄の軍はその彼等に鉄砲や術を構え槍を用意した、そしてだった。
 鉄砲や術を斉射しそれで百人もいない彼等を全て倒した、戦は一瞬だった。英雄はその戦を見届けてからまた言った。
「この状況でも戦うか」
「もう適う筈もないというのに」
「それでもですね」
「敵は戦いを止めようとしないですね」
「それも全く」
「ある意味見事だ、だがまことにだ」 
 英雄は苦い顔でこうも言った。
「嫌になるな」
「これまでの戦はここまで戦いませんでした」
「最後の最後まで戦う様なことは」
「そのことを思いますと」
「どうしてもですね」
「嫌になる」
 実際にと言うのだった。
「流石にな、だがこれも戦だ」
「それならですね」
「勝つまで行うしかないですね」
「それならば」
「そうだ、敵が降るまでな」
 その時までというのだ。
「戦っていくぞ」
「そうですね」
「では今倒した兵達はですね」
「傷付いた者達は手当をして」
「死んだ者達は蘇らせて」
「そしてだ」
 そうしたことをしてというのだ。 
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