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一発ネタ
【加筆修正】幻想郷がソ連に蹂躙される話①
前書き
幻想郷がソ連に蹂躙される話の加筆修正版です。あとの方で美鈴も出るよ!
『一つの妖怪がヨーロッパにあらわれている――共産主義と言う名の妖怪が』
(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』序文)
Урааааааааааааааааааааааааааааааа!!
地響きのように、ウラー!と大声をあげて、地平線を埋め尽くすような数の兵士が突撃してくる。
種族は様々だ。人間はもちろん、妖精、吸血鬼、人狼、エルフ、ドワーフ、鬼、天狗などなど。
ありとあらゆる種族に加えて、人間とのハーフやクオーターも多くいた。
そろいの軍服を着こんだ彼らは、赤地に黄色の交差する鎌と槌、星を象った旗を持っている。
こちらの軍勢は、執拗なまでの事前砲撃によって崩壊寸前だ。
アサルトライフルを構える敵に対して、こちらは刀や竹やりで武装した人間たち。いまだに余裕を見せている大妖怪だけが、頼りだった。
絶望的な状況でも、彼女は諦めない。
なぜなら、ここは愛する我が子のような箱庭なのだから。――その箱庭の名前は「幻想郷」。
人と妖怪が暮らす楽園は、いままさに滅亡の危機に瀕していた。
妖怪の賢者と呼ばれた彼女――八雲紫は、必死に抵抗を続けるのだった。
◆
レミリア・スカーレットは転生者である。彼女がもらった転生特典は5つ。
頭脳チート、身体チート、王の財宝、カリスマEx、黄金律Ex。
彼女の願いはただ一つ。
「幻想郷を赤く染め上げたい」
彼女は、共産趣味者だった。手始めに国を作った。その名も、
「ソビエト社会主義幻想共和国連邦」
略してソ連である。
科学的で偉大な共産主義の教えのもと、人間と妖怪の全てが平等に暮らせる国を作りたかったのだ。
あと、そうすれば幻想郷も革命できると考えた。最初たった100人ぽっちの村でしかなかった。
そのソ連は500年の時を経た21世紀には、人口15億2500万人を数える世界トップの超大国になっていた。
民族という観点でいえば、人造国家であるソ連の歴史は長くない。
しかし、国家という観点からいえば、500年以上栄え続ける化け物国家である。
彼女のしたことは簡単だ。
まず、魔女裁判などで迫害された人間や孤児などを引き取って国民にする。
人間に友好的な妖怪や、忘れ去られて消えそうな妖怪を引き取る。
史実ソ連の支配領域に重なる様に領土をぶんどる。
カリスマチートにより、人間と妖怪を仲良く共存させる。
頭脳チートや金運チートによって、常に内政チート状態。
なにがいいたいかというと神様チートぱねえ。である。
だから、レミリアは毎日神に祈るのを忘れない。
おまえ妖怪だろ? 知らんな!
だから、共産主義者の統領が神様を信じている。
科学的社会主義? 知らんな!
「妖怪の持ちたる国。」
ソ連が、世界で唯一の妖怪の国であることは、誰もが知る常識である。国内では、人間と妖怪が共存し、繁栄している。
しかし、周辺の人間諸国にとっては脅威だった。
・資本主義を否定する共産主義。
・民主主義を否定する一党独裁。
・宗教を否定する科学的社会主義。
・人類の脅威となる妖怪たち。
敵対する理由としては十分である。また、建国以来鎖国を続けたことも不気味だった。
資本主義陣営、民主主義国家、宗教勢力、人間至上主義者。周辺諸国は団結し、対ソビエト包囲網を形成した。
世界一の国土をもつソ連は、敵対国家にぐるりと囲まれている。
それでも、大規模な戦争にならなかったのは、ソ連の国力が圧倒的だったからである。
過去に何度も侵略されたが、すべてにおいてソ連は圧倒的な勝利を収めてきた。それなのに、彼らが賠償を請求したことは一度もない。だからといって、友好的でもない。徹底的に外との交流を禁止していた。
ゆえに、ソ連の実情を知る者は少ない。
各国は必死になってスパイを送り込もうとしたが、全て失敗した。CIAやMI6(現SIS)ですら、一度たりとも成功しなかった。
彼らはこの恐るべき防諜力を「モスクワの赤い霧」と呼んだ。
それとは反対に、ソ連は世界中にスパイ網を構築していた。民衆は、KGBの諜報員たちによって意図的に流布された「ソ連は恐ろしい国である」という噂を信じた。かくしてソ連vs.世界という構図が描かれたのである。
この奇妙なにらみ合いを人々は「冷戦」と呼んだ。
実は、ソ連は、裏で人間国家や宗教勢力が敵対するように仕向けている。その理由はソ連への「恐れ」を、妖怪の糧とするためだった。
文字通り「地上の楽園」となっているソ連をそのまま紹介すれば、恐れなど吹っ飛んでしまうだろう。
だからこそ、ソ連は外国との交流を禁止し「閉鎖的で恐ろしい国」だと思わせるのだ。
そのような裏事情など知らず、今日も世界はソ連を妖怪を、恐れている。いつか世界が革命されてしまうのではないか、と恐怖するのだ。
恐れを食べた妖怪は力を増し、強くなった妖怪をさらに恐れる。
そんな好循環が出来上がっていた。
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