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親切な竜

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第三章

「竜でも同じと思ってはならん」
「そうだったんだな」
「それでわしの頭は一つでだ」
「チアからもか」
「一つの頭のな」
 それのというのだ。
「それだけだ」
「成程な」
「それでだが」
 竜はここまで話してだ、シンドバットにあらためて案内をした。
「ここよりもな」
「金銀や宝石がよく掘れる場所があるか」
「そこに案内するが」
「いいのか?」
「お前はわしの噂を聞いても来たな」
「ああ、危険があってもな」
 竜の噂、それを聞いてもというのだ。
「とんでもない量の財宝が手に入れられるならな」
「それならと思ってか」
「俺は武器も魔法もないが頭と肝っ玉がある」
 こうしたものがというのだ。
「それに死んでもそれまでで天国に行けるなら」
「それならか」
「そうしたことを思ってな」
「ここに来たか」
「そうだ、しかしあんた」
 ここでシンドバットは右手を自分の顎に手を当てて考える顔になって話した。
「噂ではな」
「悪い竜だな」
「けれど実際に会ったが」
「わしは悪い竜ではない」
「竜でもか」
「竜といってもさっき言ったな」
「悪い竜がいてか」
「いい竜もいるのだ」
 こうシンドバットに話した。
「人に善人と悪人がいる様にな」
「竜にもか」
「いい竜と悪い竜がいてな」
「あんたはいい竜か」
「アッラーを信じるな」
「成程な」
「それでだが」
 あらためてだ、竜はシンドバットに話した。
「もっと掘れる場所に行ってな」
「そしてか」
「掘ってみるか」
「いいのか、ここはあんたの山だろう」
「わしの縄張りだ」
「縄張りでお宝を手に入れても」
「わしの噂を聞いてもそれでも来た」
 竜はシンドバットにこのことから話した。
「その勇気を讃えてだ」
「掘ってもいいか」
「そうだ、好きなだけ掘っていけ」
「ならそうさせてもらうな」
「うむ、この山はとにかく硬い石が多くそれが幾らでも生まれ出て来るが」
「その石がか」
「金銀や宝石でな」
 それでというのだ。
「わしも貯め込んでいるが」
「それでもか」
「あまりにも多くてな」
 その量がというのだ。 
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