少しずつ明るく
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第一章
少しずつ明るく
北川桜は両親が共に忙しく家ではいつも一人だった、小柄でアメリカ人の母親の血で奇麗なブロンドの髪をツインテールにしていてやはり母親譲りの青い大きな瞳と白い肌に整った顔立ちが非常に可愛らしかった。
しかし家ではいつも一人であり学校にいてもだった。
家出いつも一人でいることから内向的な性格になってしまっていていつも一人だった、だがその彼女を見てだ。
クラスメイトの一人である南崎四季が友人達に話した、前を切り揃えている赤毛の膝まである髪の毛を三つ編みにしている。大きな黒い瞳で穏やかでかつそれでいてしっかりとした雰囲気のある顔立ちで黒ストッキングで覆っている脚が実に奇麗だ。着ている制服は黄色の丈の短いブレザーとワンピースになっている丈の短い青と白のタートンチェックのスカートに白ブラウスと赤リボンの制服である。これは桜も同じ服を着ている。その彼女が言うのだった。
「北川さんっていつも一人よね」
「うん、何かね」
「ご両親共働きで忙しくて」
「お家でも一人らしくてね」
「学校でもらしいのよ」
「何でも一人っ子らしくて」
「ずっと一人でいるせいかね」
友人達は自分の席に座って静かに本を読んでいる桜を見つつ四季に話した。
「性格的にね」
「一人でいたいみたいよ」
「一人でいるのに慣れていて」
「それでね」
「別にトラウマとかないのね」
四季は友人達の言葉を聞いて述べた。
「そんなことは」
「別に暴力とか失恋とかね」
「そういうのはないみたいよ」
「悪い人でもないし」
「特にね」
「そうね、クラスの催しにもいつもいるし」
地味で目立たないがだ、桜はクラスの催しにも常に参加している。ただし積極的ではなく喋ることもしない。
「成績はそんなに悪くないし」
「むしろいい方?」
「特に文系がね」
「体育はそれ程じゃないけれど」
「ただ一人でいるだけで」
「部活も入ってるし」
「部活は文芸部ね」
部活にも入っているというのだ。
「結構ポエムとか俳句とか短編の小説も書いてるらしいわよ」
「やっぱりあっちでも無口らしいけれど」
「何も喋らないらしいけれど」
「参加はしてるらしいわ」
「ただ一人でいたくて無口なだけね、何か」
四季は友人達の話をここまで聞いて考える顔になった、そうしてそのうえで友人達に対して言った。
「あの、若しもね」
「若し?」
「若しっていうと」
「いや、北川さんさえよかったら」
それならというのだ。
「その時はね」
「私達のグループになの」
「入ってもらうの」
「そうしてもらうの」
「そうしてね」
そのうえでというのだ。
「お話したり遊んだり」
「そうしたことするの」
「北川さんとも一緒に」
「そうしてもらうの」
「どうかしら。ちょっと誘ってみるわね」
こう言ってだ、四季は実際にだった。
次の日も一人でいる桜の席に行ってそうして彼女に声をかけた。
「ちょっといい?」
「私?」
「そう、北川さんよ」
自分に顔を向けた桜に微笑んで答えた。
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