NARUTO 桃風伝小話集
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その36
前書き
相互理解週間だってばよ後。
サスケ編そのよん
波の国から帰って来て。
自分の今後について、真剣に考えたそのついでに。
今まで棚上げしていた問題を解消してしまおうと思い立ち、サスケはナルトに今まで避けてきた兄についての話を振った。
どんな話をされても、あの頃、ナルトにはサスケの家に正式に引き取る話があった事を報せる事と、その兼ね合いで、うちは御用達の武器商人の猫バアと顔繋ぎさせると決定はしていた。
今までサスケはその辺りの事は、威力はともかく、なんとかナルトにうちはが得意としてきた豪火球の術を仕込めた事でよしとするつもりだったが、波の国での一連の出来事で気が変わった。
ナルトは自分の傍に置く。
そう決意した。
ならば、今まで背を向けてきた、ナルトの与太話にも向き合わねばなるまい。
そんな思いで、今まで敢えて避けていた話の水を、意を決して向けてみたのだが。
そうして語られたナルトの『与太話』は桁が違った。
真実かどうかも定かでは無ければ、証拠も碌には無いという。
それもまあ納得の話ではあった。
気安く公言すれば、気の触れた狂人扱いが良い所だろう。
そんな前提の、ナルトの口から語られる荒唐無稽な話の数々に、サスケは圧倒されてしまって、昨夜は碌に疑念を挟む事は出来なかった。
ただひたすら、ナルトの話に耳を傾けることしかできなかった。
正直、なぜナルトがそんなことを知っているのか、という疑問はある。
だが、ナルトの話に大人しく耳を傾け続けたその対応は正しかったと確信できる。
どれほどうちは一族のサスケにとって信じがたく受け入れ難い話であっても、それを語っているのは他でもないサスケの傍に置くと決めたナルトなのだ。
真偽はともかく、一度はきちんと全てを聞いておかねばならない。
そんな一抹のその思いだけを胸に、不安そうに、恐る恐るサスケに語りだしたナルトの話を聞いてやっている内に、サスケはふいに気付いた。
ナルトの語ったその話が、真実かどうかが問題ではない。
ナルトが語るそれを、ナルト自身が真実だと、ナルトが確信している事こそが問題だと。
九尾の保証のある話など、と、思いはするが、それでもナルトの話によれば、尾獣はそもそも六道由来の物だという。
うちはの血を継ぐサスケにとっても無視はできない。
その上、納得できない話でもない。
個人的にはそんな大昔の因縁など、今を生きるサスケ達には関係ないと断じられるが、あいにくサスケはその六道の血を継ぎ、瞳力を継ぐと自負するうちは一族の直系でもある。
同じように六道の血を継ぎ、後継者を自負し、うちはと争い続けてきたという千手一族との因縁すら含んでいると聞かされては、無視しきる訳にもいかない。
そうして、ナルトの話を聞けば聞くほど、サスケには自分を取り巻く環境に納得と反感を覚えざるを得なかった。
何より、それが、兄が凶行に走った因の一つと聞かされればなおさらだ。
そして、ナルトの抱える柵と事情は、木の葉とうちは一族、それに六道仙人に絡まりすぎていた。
否も応もなく。
九尾の人柱力であるが故に。
うちはであるサスケは、ある程度生まれながらに業を背負っているのは自覚していた。
一族について、詳細を語られず、教えられていなくともだ。
実の兄だからこそ、その兄がサスケに望んだものに応えてやると、そう決意してサスケは修羅の道を征く事を志した。
サスケも、兄と同じうちはであるのだから。
だが、ナルトは違う。
うずまきとはいえ、いや、一族が戦禍によって離散したうずまきだからこそ、一族の柵もなく、自由に思いのままに生きられると思っていた。
人柱力として、多大な枷を里から嵌められていても、サスケのように望まぬ修羅の道を歩まず、人柱力だからこそ、里で守られる道を選ぶ事も可能だと、むしろ何故それを選ばないと、そんな風に考えていた所もあった。
だからこそ、サスケと同じように復讐を志し、強さを求めるナルトに燻る物を感じざるを得なかったのだが、ナルトの話を聞いて得心した。
ナルトがサスケと同じように、望まぬ修羅の道を歩もうと努力する理由も、その為に必死になって己を誤魔化し、修羅たらんと無駄な努力をしている事も、全ては、巨大な敵に狙われた己の命を護る為だったのだ。
ナルトの話が真実ならば、死にたくなければナルトは死に物狂いで強くなるしかない。
相手がうちはであればなおさらだ。
抗するために、どれ程強さを求めたとしても、おかしな話ではないと、うちはの一人でもあるサスケも思う。
ナルトのその判断は、妥当であるとサスケも認める。
自分の修行相手に、サスケに目を付け、求めた判断もだ。
それに、ナルトの話が真実だろうが真実では無かろうが、嘘偽りない事実として、人柱力であるナルトは、ナルトの中に封じられた九尾を抜かれれば、体内のチャクラバランスを崩して死に至る。
それは避けようのない事実だ。
そしてナルトは、木の葉を抜けた兄が属しているという、暁なる不穏な組織に、自分が狙われていると警戒している。
それに対抗するために、サスケ同様、兄を超える力を求め続けている。
暁がナルトを狙うのは、ナルトに封印されている九尾が目当てで、ナルト自身の命を狙っている訳ではないが、それでも九尾の人柱力にされてしまったナルトにとっては同じことだ。
そして、その結末が、サスケの聞かされた下らない物の実現に繋がっているのだとすればなおさらだ。
そんなあほ臭く下らないものの為に、そうやすやすと己の命を差し出せる訳もない。
それは分かる。
だからこそナルトはああまで強さを求め、力を付ける事に拘るのだろう。
それは、ナルトを側に置き続けると決めたサスケにとっても全く持って冗談ではなかった。
昨夜、あの話の数々をサスケに語ったのが他でもないナルトでなければ、サスケは語られた内容を全て一笑に付して、見向きもせず、一顧だにしないと断言できる。
今でさえ、あまりの荒唐無稽さに、サスケは少し半信半疑だ。
けれど、それで納得できてしまう部分も確かにあるのだ。
うちは。
千手。
そして木の葉。
どれほど真偽があやふやでも、情報は情報だ。
早々にナルトの話の真偽を確かめねばならないと決意した。
それと、ナルト自身についてもだ。
サスケに対して、こんな嘘を吐いたり、謀るような事をする人間ではないと確信している。
ナルトはそんな度胸のある人間ではない。
悪戯や悪ふざけが目的ならばその限りではないが、これはその質が違う。
それでも、忍として、念の為に確認はしておかねばならないだろう。
そもそも、ナルトは何をどこまで見通している?
対した人間の思惑全てを見通すのか?
記憶や心の裡まで?
それなら、六道に関連する事柄は何処から得てきた。
九尾からなのだろうか。
一体、ナルトの知識の源はなんなんだ?
そう疑問を浮かべる度に、己をあっさりと化け物と称し、サスケにそう認識する事を勧めてきたナルトを思い出し、サスケは不快感に包まれ、むかっ腹が立つ。
今更そんな事がサスケにできるとナルトが本気で考えているならば、それはサスケに対する侮辱に他ならない。
だが同時に、理解したこともある。
ナルトは己を化け物だと認識しているということだ。
尾獣を封印された人柱力という理由に因らず。
つまり、ナルト自身、自分は異常であると認めている。
その原因は、ナルトがサスケに語った情報の数々。
だが、もしもナルトの異常を人柱力であるという事に求めるならば、一応の説明がつかない訳ではないとサスケは思う。
木の葉の初代人柱力は、ナルトと同じうずまき一族の直系の出で、遠見の巫女と呼ばれていたと聞く。
つまり、遠見とは、こういう事でもあったのだろうか。
だとするならば、初代人柱力と似た力を宿すナルトの出自は、それなりの由緒があるに違いない。
ナルトにうずまきの血を与えたのは、ナルトの母であるうずまきクシナ。
優れた人柱力として名を馳せていた、うずまき一族直系の、うずまきミトの後継として選ばれるのならば、それは同じくうずまき一族直系の人間でしかない。
それなりに血の濃い人間が選ばれているはずだ。
当時はまだ、渦潮隠れの関係も友好的だったはず。
ならば、ナルトもうずまき一族直系のその血を継いでいる。
そもそも。
そう、そもそもだ。
うずまき一族とはどのような一族だったのだ?
うずまき一族が戦禍に離散した今となっては、詳細に語れる者は少ないはず。
うずまきに縁深い木の葉にも、居るかどうか。
居たとしても、里の重鎮。
うちはとはいえ、未だ下忍の身のサスケが容易く接触できる相手ではない。
そうなると、書物やうずまきについて記された巻物の類から情報を得るしかないが、ナルトの能力は、うずまき一族の血継限界ではないのか?
そう考えたのは、サスケ自身が血継限界継承者だからだ。
サスケの受け継ぐうちはの写輪眼のように、うずまき一族とは、ナルトのような人間を輩出する一族ではないのか。
うずまき一族とは、なんだ。
それを知らぬから、ナルトは己を化け物と断じるのではないだろうか。
それに、もしそうならば、常に狙われ戦禍に晒され離散したという、うずまき一族の辿った道に納得出来る。
己を見透かす人知を超えた存在など、恐怖の対象でしかないはずだ。
排斥に動くのは、当然の流れだ。
だが、同時に、そうではないという予感も感じている。
己の一族ではないサスケのうちは一族について、あれほど詳細に語ることができたのだ。
うずまきについても同様の筈。
そう考えて、サスケは直ぐにその考えを否定する。
それならばナルトは己をうずまきとして誇りこそすれ、化け物と蔑むことは無いはずだからだ。
つまり、ナルトの見せた異能は、うずまきに由来するものでも、人柱力に由来するものでもないという仮説も成り立つ。
あるいは、ナルト自身、己の一族であるうずまき一族について、詳細を知らないか、だ。
それならば、どちらであっても、ナルトは己を化け物と蔑む事に繋がる可能性があげられる。
だが、ナルトの口振りから察するに、より可能性が高い推測は、ナルトの異能は、うずまきに由来するものでも、人柱力に由来するものでもないという仮説の方なのではないだろうか。
異能の所以と由来と答えをナルト自身も持っておらず、そんな自分にどこか恐れを抱いている。
だからこそナルトは、自分の事を化け物と称しているのだろう。
つまり、ナルト自身、己の異能に確たる答えを持たず、常に不安と己に対する猜疑に苛まれ続けている。
だからあれほど己を『化け物』と卑下し続けているのではないだろうか。
あのウスラトンカチが。
一抹の苦々しさと共に苛立ちながら、そのように、ナルトに関しての一応の結論をサスケが出した時だった。
「はい、サスケ」
「…ああ」
寝室のベッドの上で身を起こして考え込んでいたサスケの傍に、いつの間にか控えていたナルトが、昨夜の長時間に及ぶ幻術行使によって寝込んでしまった術者であるサスケに、うちはに伝わる疲労回復丸を差し出してきた。
サスケの母に伝授されたそれを、サスケの為に調合してきたのだろう。
出来立ての丸薬特有の柔らかさが見て取れた。
ほんの少し、術者である自分と違い、昨夜の幻術効果の影響を微塵も感じさせずに、こうしてサスケの世話を焼けるほどぴんぴんしているナルトを妬ましく思う気持ちが湧く。
同時に、こうして寝込んでしまった己の未熟さに苛立った。
ついで、白湯の注がれた湯飲みを差し出され、それを受取ろうとした時、何気なくナルトと目が合った。
その時だった。
にこーっという擬音や、花でも辺りに散っているのではないかと思うような満面の笑みをナルトが浮かべた。
真正面からナルトのそんな嬉しそうな笑みをぶつけられ、サスケは思わず動揺した。
今までもそれなりにナルトの笑顔を見てきたが、そんな風な、ナルトの浮かれ切った無防備すぎる無邪気な笑顔など、今までサスケは見たことがなかった。
ナルトが浮かれ、喜んでいる理由は分かる。
ナルトの言い分を信じるか信じないかはともかくとして、サスケに拒絶されず、突き放されもせず、曲がりなりにも話をすべて聞いてやって、その上でナルトを受け入れる態度をサスケが取ってやったからだろう。
それが余程嬉しかったと見える。
今まで以上にサスケに対する好意と信頼が透けて見える笑顔だった。
可愛いと、素直にそんな感想がサスケの胸に浮かぶ。
自分の中にそんな感想が浮かんでしまった事に更に動揺して、動揺を堪える様に、慌てて丸薬を白湯で飲み下す。
そして、飲み下した瞬間。
今度は一連のナルトの振る舞いに、かつて出会ったばかりの頃のカカシが、ナルトに向かって下した評価が、あの時よりも実感を伴ってサスケの胸に蘇ってきた。
思い出したそれに赤くなって熱を持つ顔をナルトに悟られぬよう、空になった湯飲みをナルトに押し付け、頭から布団を被って横になる。
「寝る!!」
一方的に宣言すれば、挙動不審なサスケの態度を気にした風もなく、ナルトがサスケに尋ねてきた。
「ご飯はどうする?おかゆか何か作ろうか?」
サスケに対するナルトのそんな気遣いが、直前に思い返した事を肯定するかのようで、サスケは必死に動揺を悟られぬよう声を張り上げてナルトを遠ざけた。
「病人扱いするな!ひと眠りすれば治る!お前ももう帰れ!」
どきどきと痛い程胸が鼓動する。
今の今までサスケもあまり実感はしていなかったが、それでもサスケが心に決めて決意した事は、つまり、全部、そういう事だ。
決定を変えるつもりは微塵もないが、だが、今はナルトと対せず一人になりたかった。
でないと、これ以上、どんな醜態を自分が晒してしまうか知れたものではない。
ただでさえ、今回、サスケ一人が寝込んでしまうという醜態を晒しているというのに。
なのに!
「それもそうだね。じゃあ、あとで夕飯時にもう一度顔を出すね?ご飯食べながら明日の予定相談しようよ。それでいいでしょう?」
無邪気にそう問いかけるナルトの能天気さにかっとなったが、その原因は、元はと言えばサスケ自身が昨日言い出したことに違いなかった。
それがどんな意味を持つのかも知らずに、素直にサスケの意に添い、従おうとするナルトの従順さに、ますますサスケの動揺は深くなった。
これを、護れるようにならねばならないのだと、深く実感する。
同時に、この程度で寝込む軟弱な己と、サスケのそんな気持ちを微塵も理解せず、昨夜の件で仲違いせずにいられた事に素直に喜び、浮かれるナルトの無邪気さに腹が立った。
だが、ナルトを手放す選択はあり得ない。
しかし、ついついいつものように苛立ちをぶつけるように怒鳴りつけてしまう。
「好きにしろ!」
しまったと後悔しつつ、そんな対応を取ってしまったサスケに対するナルトの反応が気になり、不安になる。
が。
普段通りだったのが逆に良かったのか、サスケの反応を大して気にした風もなく、ナルトはいつものように切り返して来た。
「じゃあ、サスケ。今日の夜ご飯の時にまたね。ゆっくり休んで早く良くなってね」
やつあたりするような大人げない態度を取ったサスケに、変わらぬ気遣いと優しさを向けてくれるナルトの対応に、子供っぽい駄々をぶつけてしまったばつの悪さがサスケに浮かぶ。
だが、今更頭を下げる訳にもいかない。
しかし、筋は通さなくてはならない。
サスケは一人葛藤する。
「ナルト」
湯飲みと残りの丸薬を乗せた盆を持ち、サスケの部屋を後にしようとしているナルトの気配に、必死に平常心を繕いつつ声をかけるた。
「なあに、サスケ」
「世話をかけて、すまない」
不思議そうに気負いなくサスケに応えたナルトに、今のサスケが贈れる精一杯の気持ちを告げた時だった。
ナルトが喜色に満ちた声を上げた。
そして、その声に、サスケは一つ、ナルトに対して理解した。
「ううん!なんか、こういうの、僕がサスケに頼られて、サスケの力になれてるって感じがすっごくするから、全然構わないよっ!あ、でも、サスケが気になっちゃうんだったら、僕が何かで寝込んじゃった時は、サスケの事を僕が頼ってもいい?」
そうして、波の国で敵対する立場にあった同年代の忍から贈られた言葉も思い返し、サスケは小さく口の中で呟いた。
「自分を必要とする者、か…」
その観点からしてみれば、ナルトにはそういう人間が欠け過ぎていると容易く判断できる。
そして、だからこそ、ナルトを縛る方法や、言葉も。
「そんな事、当たり前だろう!お前はオレ以外の誰に頼る気だ」
恥を忍んで本音を晒せば、予想通り、ナルトは言葉を失った。
そして、あからさまに照れていると分かる嬉しそうな甘えた声で、嬉々としてサスケに甘えてきた。
「じ、じゃあ、その時は遠慮なくサスケを頼るね?でも、僕も、サスケを頼りっぱなしなのは気になるから、サスケも僕を頼ってね?遠慮しなくていいからね?」
サスケに甘えつつ、サスケを気遣い、健気な事を口走るナルトに、読みが当たった事に浮かれながら、サスケは思わず自分の布団の中にナルトを引きずり込みたい衝動に駆られた。
その衝動に、これ以上の問答は危険だと、直感的にそう判断する。
今は、それは、まだ早いはずだ。
何故ならナルトの気持ちが伴っていない。
「もう、十分頼っているだろう!いいからもう行け!寝かせろ!」
「うん。邪魔しちゃってごめんね。おやすみなさい」
サスケから遠ざける為に不機嫌を装えば、ナルトは素直にそれを信用して引き下がった。
だが、ナルトの声には隠し切れない喜色が滲んでいた。
しっかりとそれを把握しつつ、ナルトの気配が遠ざかった自室で、サスケは深く溜息を吐いた。
精進せねばならない。
今のままのサスケでは駄目だ。
ナルトの挙動にサスケこそが心を惑わされてしまっては意味がない。
それではいけない。
いけないと思う。
今までも、ナルトには、振り回されてばかりなのだから。
ナルト自身は、そんな事は微塵も察していないのが救いではあるけれど。
ならば、どのようになれれば、サスケの望みを叶える事になるのだろうか。
どうすれば、ナルトを護る力を手に入れる事になるのだろうか?
兄を殺す為の力を求めるのは答えが解かり易かった。
ナルトを護る為に、その力も必要だろうと判断できる。
でも、きっと、多分それだけでは足りないはずだ。
ならば、これからは何が必要なのだろう。
どうすればいいというのだろうか。
きっと、ナルトの話に沿うならば、兄をこの手にかけずともいい。
むしろ、兄の鼻をより明かせる。
だが、兄がサスケに望んだのは、一族全てを手にかけた兄に対する断罪者という存在だ。
断罪は、復讐として命を絶つことだけではないのだろうか。
生かす判断も、復讐になり得るのか?
それは、ナルトの、恨みはあれど、それでも人の命を奪いたくない自分に対する誤魔化しだとばかり思っていたのに…。
答えの出ない煩悶を感じつつ、サスケは睡魔に身を委ねていった。
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