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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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ダーマ

<バハラタ>

取り敢えず宿を確保したアルル達は、荷物を置き町へ繰り出した。
この町に来て直ぐに黒胡椒を探し、直後に誘拐騒ぎに巻き込まれた為、装備品等を買い揃えていないのだ。
携行食などの必需品を買い、一行は武器と防具屋へと向かう。


アルル達6人が、さして広くない店内を物色するが、目新しい物は見つからない…
「この町は黒胡椒以外、碌な物が無いな!」
皆が思った事だが、あえて口に出さなかった事をリュカが大声で言う!

「おい、にぃちゃん!聞き捨てならねーな!!この町は黒胡椒だけで成り立っている訳じゃねーぞ!」
店主の男が乱暴な口調でリュカに言い返す。
「へー………何処が?」

「ふん!店先に置いてないだけで、1点物のすげぇアイテムだってあるんだよ!」
リュカの態度に憤慨する店主…どうやら本日の被害者は彼の様だ。
「へ~……そんな物、何処にあんだよ!?」
「おう!見せてやろうじゃねぇーか!見て驚くなよ!!」
「うん、分かった。驚かないよ。早くして!」
「くっそっ!待ってろ!!」


額に血管を浮き上がらせた店主が戻って来たのは、3分程経ってからだ…
店主の手には少し小さめの盾が一つ…
「見ろ!これが当店で1つしかない盾『魔法の盾』だ!世界でもそれ程出回ってはいないアイテムなんだぞ!」
「こんな小さい盾が役に立つのかよ…」

「ふん!何も知らないからそんな事言うんだ!この盾を装備しておけば、敵から受ける魔法のダメージを軽減する事が出来るんだ!」
「へー…避けた方が早くね?」
「分かってねぇーなー!前衛で戦う戦士系のヤツには、避ける事は簡単だろうが、後衛の魔法使い系には、敵の攻撃や魔法を避けるのは難しいんだ!」
「え!?つまり、その盾は魔法使いでも、装備できるって事!?」
店主の自慢に近い商品説明を聞き、ウルフが瞳を輝かせ食いついた。

「あたぼうよ!魔法使いが装備できるからこそ、『魔法の盾』なんて名が付いてるんだ!」
「お、おじさん!その盾は幾らですか!?」
「う~ん…本当は5000ゴールドくらいはするんだが…お前さんみたいな、若くて将来有望な魔法使いに使ってもらいたいから、3000ゴールドで売ってやるよ!」
「じゃ、じゃぁそのた「高い!いらん!!」
購入希望のウルフの言葉を遮り、リュカが勝手に拒絶する!
「ちょ、リュカさん!勝手に…」
「うるさい!ウルフは黙ってろ!!」

「おい、にぃちゃん!5000が3000になるのに高いわけないだろ!」
「5000が3000になるのが高いんじゃなくて、その盾に3000もの価値が無いから高いんだ!考えてみろ…後衛の魔法使いが攻撃を受ける様なパーティーではダメだ!前衛が全力で後衛を守る様に戦うのが、正しいパーティー戦闘だ!」

「うぐっ…た、確かにその通りだろうが…しかし、万が一という事もあるだろ!?保険の為にも防御力の低い魔法使いの為に…」
先程まで無礼な物言いだったリュカに正論で攻撃され、弱気になる店主…
「保険の為如きに3000ゴールドも出せるか!その3000で前衛を強化し、保険の必要を絶った方がよっぽどマシだ!」
リュカの正論に完璧に打ち負かされ俯く店主…

「……とは言え…確かに魔法使いを強化する事には意味があるなぁ…でも3000はなぁ~…」
リュカの呟く様な言葉を聞き、瞳を輝かせ顔を上げる店主。
「だ、だろ!?じゃ、じゃぁ…2500ゴールドならどうだ!?」

「…1000ゴールドだよ…」
「おい…無茶言うなよ…じゃぁ2300ゴールドなら…」
「う~ん………奮発しても1700ゴールドだな…」
「くぅ~………で、では…2000だ!!これ以上はムリだ!」
「うん!2000ゴールドで買うよ」
結局ほぼ原価で売る事となった店主…
まぁアッサラームの友達商人よりかはマシだろう…




「相変わらずの値切りやね…」
ガックリと落ち込む店主を無視し、宿屋へ戻る道すがらエコナがリュカに、尊敬と呆れをブレンドした感情を吐き付ける。
「だってさ…5000ゴールドがいきなり4割引だよ!絶対ボッタクろうとしてたんだよ!」
「旦那は俺等盗賊の天敵だけではなく、商人の天敵でもあったんッスねぇ…」
「俺としては、リュカさんの天敵を知りたいですね!居るかどうかも不明ですが…」
カンダタとウルフの言葉に皆が頷く。

「そりゃ居るよぉ~…僕にだって…」
「本当ですかぁ?」
「アイシスって女なんだけどね…」
「え!?女なんですか!?あり得なくないですか!?」
「…何だかアルルの台詞には、若干失礼な成分が含まれている様に感じるのだが…?」
そしてアルル達は、そのまま宿屋の食堂へと入り、和気藹々と雑談をしながら夕食にありついた…
カンダタとの仲は、随分と良好の様だ!




<ダーマ神殿>

アルル達一行は新たな戦力を得て、戦闘が楽になった様で、ダーマ神殿までは1日で辿り着く事が出来た。
とは言え既に夜の帳が付近を覆い、刻一刻と静寂が勢力を広げている。

「此処が職業を司るダーマ神殿ですね!…でもさすがに夜は転職出来ないみたいですね…残念!」
ハツキが悔しそうに呟く中、リュカがソワソワと周囲を見回している。
「リュカさん…どうしたんですか?」

「うん。何だかすんごい美人が居る匂いがするんだ!何処だろう!?」
アルルの質問に周囲を見渡しながら答えるリュカ…本人は至って真面目である!
「…はぁ…そうですか…じゃぁ、頑張って下さいね…今晩も………私達は宿屋で一休みしますから…」

「そうか、宿屋か!!」
アルルが神殿2階の宿屋へ向かおうとすると、美女が居る事を疑わないリュカが、其処だとばかりに宿屋へと歩き出した!
「なぁ…何か特別な匂いがするか?」
「いやぁ…俺も盗賊として生きてきたから、鼻は効くんだが…」
リュカの言い分が気になるアルル達は、リュカの後を追う様について行く…


神殿2階…宿屋のロビーエントランスに着くと、其処には後ろ姿ながら美しさを醸し出すブロンド女性が佇んでいる…
「お嬢さん!!今晩僕と相部屋などは如何ですか!?出来れば相ベットも!」
早速口説きにかかるリュカ…
そのリュカの声に反応し振り向く女性…

振り向いた女性の正面姿を見たアルル達の反応は、皆同じだった。
男性2人はヨダレを垂らす程見とれ、女性3人は嫉妬できない程見とれている。
「…ほ、本当に…すんごい美人…」
アルルの台詞に誰もが頷く…

しかしリュカの反応は少し…いや、かなり違っていた。
何時もなら、ナンパの手(口?)を休めず口説き続けるのだが、美女の顔を見た途端固まり、驚いてるではないか!
そしてリュカが、絞り出す様に発した台詞は…
「な………何で…此処に居るの………?」
である!



 
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