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ドリトル先生の林檎園

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第六幕その九

「結婚のことをね」
「ああ、それは当然だよ」
 まさにとです、王子は先生のその発言に納得して頷きました。
「僕だってそう思うしね」
「僕もですよ」
 トミーも言ってきました。
「結婚出来ますよ」
「先生ならね」
「そうだよね」 
 トミーは王子にお顔を向けて応えました。
「先生さえ気付けばね」
「それで結婚出来るよね」
「そうだよね」
「本当にね」
「そんな筈がないよ」
 先生だけが笑って言いました。
「僕が結婚出来るなんてね」
「先生って正直自己評価が低いね」
 王子は先生にやれやれといったお顔で言いました。
「実力以上に」
「そうかな」
「そうだよ、慢心したり自信過剰にならないことはいいことだけれど」
 それでもというのです。
「自己評価が低いことはね」
「低いかな」
「うん、低いよ」
 こう言うのでした。
「本当にね、結婚はね」
「出来るんだ」
「そう、出来るから」
 絶対にというのでした。
「もう少し自信を持ってね」
「それでなんだ」
「結婚を目指すとね」
 それでというのです。
「絶対にいいよ」
「目指せばお気付きになられます」
 ここでこう言ったのは王子の執事さんでした、見れば王子の横でしっかりとお蕎麦を食べています。
「それで全ては上手くいきます」
「そうですか?」
「私もそう思います」
「執事さんもですか」
「はい、如何でしょうか」
「いや、本当に」 
 先生だけがこう言います。
「僕はもてないですから」
「そう思い込まれることがです」
「よくないですか」
「やはり先生が自己評価が低いです」
「そうですか」
「はい、本当に」
 実際にというのです。
「先生のお人柄を見てです」
「結局一番大事なのは人格だからね」
「そうそう、そのことが大事だし」
「幾らお顔やスタイルがよくてね」
「お金も地位も持っていてもね」
「性格が悪いと」
 それならとです、動物の皆も言うのでした。
「どうしようもないからね」
「それだとね」
「先生は性格が凄くいいから」
「それじゃあね」
「絶対に結婚出来るし」
「幸せはもう神様が傍に置かれているし」
「そうなのかな、けれど」 
 それでもとです、まだ言う先生でした。ですが。
 皆はそんな先生に笑顔を見せてです、トミーがその皆を代表して言いました。
「神様は見ていますよ」
「そう言われると信じられるよ」
「はい、信じて下さい」
「是非共ね、それでだけれど」
 先生はトミーの言葉を受けて皆にあらためて言いました。 
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