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レーヴァティン

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第百三十三話 砦攻めその九

「病に罹ることがだ」
「厄介やな」
「梅毒、この世界では瘡毒とも言うな」
「赤い瘡蓋が全身に出来るからな」
「斑点もな」
「それでそう呼ぶな」
「あの病になるとな」
 梅毒、それにというのだ。
「非常にだ」
「この世界では術とか医学で治るけどな」
「それでもだ」
「治療に手間取るからな」
「だから最初からだ」
「罹らんことやな」
「それがだ」
 そのこと自体がというのだ。
「第一だ、そうした病気を持っている女はな」
「最初からやな」
「陣に近付けないことだな」
「それが一番やな」
「若しくはな」
 英雄はこうも言った。
「こちらで最初からだ」
「娼婦、花魁を用意しておくんか」
「それが白拍子でもいい」
 こちらも実は春をひさいでいた、平清盛が愛した祇王達もそこから清盛と縁が出来たのである。
「とにかくだ」
「確かな娘をか」
「用意しておいてだ」
 そしてというのだ。
「軍勢の男達のな」
「相手をさせるか」
「その方がいいか」
「どうもそれは」
 英雄の今の話を聞いてだった、謙二が言ってきた。
「何かと言われている」
「従軍慰安婦か」
「そんな風ですね」
「あの創作か」
「強制だの何だのはそうでしたが」
 吉田清治という職業的詐話師の垂れ流した嘘をマスコミが何の検証もせずに喧伝した、日本のマスコミが犯した悪質は報道犯罪の一つだ。
 ここで恐ろしいことはマスコミも検証しなかったが歴史学者達もだった、素人が検証してすぐわかる様なことがプロである筈の学者の多くがわからなかったのか。これが戦後日本の歴史学者の質ならば最早日本の歴史学界に存在価値はあるのであろうか。
「ですが」
「史実のだな」
「その慰安婦とです」
「同じか」
「そう思いました」
 こう英雄に話した。
「どうも」
「そこはな」
「もうですね」
「考えても意味がない」
 一切という言葉だった。
「それこそな」
「あの話も偽りですし」
「軍に娼婦がいることはな」
 このこと自体はというのだ。
「当然のことだ」
「男が集まっているのなら」
「それならだ」
「もうですね」
「当然だ、だが」
「ここで問題であるのは」
「病気のことだ」
 性病、これの問題だというのだ。
「それがどうかだからな」
「慰安婦もですね」
「思おうともな」
「構わないですか」
「俺も日本軍も素人を攫ってだ」
 その様にしてというのだ、吉田清治の嘘の様に。
「娼婦を用意する必要なぞない」
「既に娼婦ならいるので」
「雇うなりすればな」
「それでいいですね」
「それだけのことだ、そしてな」
「この度の問題は」
「病ですね」
「娼婦達を一人一人調べ」
 英雄はこの度の問題の解決案も出した。 
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