仮面ライダービルド 笑顔絶やさずに
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第七章
職場の上司が彼のところに来てこう言ってきた。
「内海君お客さんだよ」
「私にですか」
「うん、君に会いたいと言ってるよ」
「今は勤務中ですが」
「そこは社長がいいって言ってるから」
それでとだ、上司は彼に話した。
「だからね」
「いいですか」
「うん、じゃあ応接室に行ってね」
「わかりました」
内海は周りの同僚達に少し抜けると話してからだった、会社の応接室に入った。するとそこには彼の知らない者がいた。彼は黒衣の青年の存在は全く知らなかった。
だから彼の姿を見ても怪訝な顔で言った。
「貴方は一体」
「これからお話させてもらうから」
青年は自分に怪訝な顔を向ける内海に穏やかな声で話した。
「だから聞いてくれるかな」
「はい」
内海は怪訝な顔のままだった、だが。
自分でも不思議に思ったが彼の言葉を妙に聞きたくなった、それでだった。
彼のその話をソファーに向かい合って座ったうえで聞いた、そして聞き終えてから彼に対してこう言った。
「正直信じろと言われても」
「信じられないね」
「はい、ですが嘘とは思えません」
内海は青年に真面目な声で答えた。
「貴方のお話は」
「日本が三つに分かれていて」
「そして私もですね」
「その世界ではサイボーグで」
「仮面ライダーという存在であり」
「エボルトとも因縁があったんだよ」
「そしてそのエボルトは」
内海はさらに言った。
「スサノオという神が操っていた」
「エボルト自身が気付かないうちにね」
「荒唐無稽なお話です、ですが」
それでもとだ、内海は青年のその顔を見つつ真剣な顔で彼にあらためて言った。
「嘘には思えないです」
「だからだね」
「私がカメンライダーという存在となりスサノオ、神と戦う立場なら」
それならというのだ。
「戦わせて頂きます」
「そうしてくれるね」
「はい、私はこの製作所の社員に過ぎないですが」
それでもというのだ。
「そうした運命にあるなら」
「社長さんもそのことはわかっている様になっているから」
「社長もそちらの世界ではですか」
「世界的な企業の経営者さんでね」
「そうですね、では」
「それではだね」
「社長もそうであられるなら安心して」
会社の勤務もっと言えば仕事のことについてというのだ。
「戦わせて頂きます」
「ではこれからね」
「その喫茶店にですね」
「行ってくれるかな」
「わかりました」
内海は青年の言葉に確かな顔で頷いた、こうして彼は仮面ライダーマッドローグとしてスサノオと戦うことになった。この創り変えられた世界でも。
氷室幻徳は父でもある首相の補佐として忙しい日々を送っていた、彼は首相にとって頼りになる秘書であり補佐官であった。
その立場で働きながらマスコミからの取材も受けていたが。
冷静で公平、かつ視野の広さから辣腕家と呼ばれていた。その為将来も期待されており今も滝川紗羽の取材を受けていた。彼女とは特に馴染みだった。
彼は今首相の事務所で取材を受けていた、その取材が終わってから彼は個人的な知り合いに対する顔になって言った。
「まあ話せることはな」
「今はっていうのね」
「これで全部だ」
今話せることは全て話したとだ、端整なスーツ姿に相応しい普段の顔とは別の顔を見せつつ話した。
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