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借金大王

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第四章

「だからな」
「言い寄ってか」
「相手が乗ってきたらでな」
「無理強いはしないんだな」
「生まれてこのかたな」
「だといいけれどな」
 信じてないがこう言った、こいつは嘘吐きだからだ。しかも手を差し伸べるとつけあがって入り浸る。本当にどうしようもない奴だ。
「けれど言い寄るなよ」
「しつこいな、お前も」
「これまでのこと知ってるからだよ」
 これまた本人に言ってやった。
「本当にな」
「そうするんだな」
「何度でもな」
「やれやれだな」
「やれやれじゃないだろ、あとジン飲み終わったらな」
 ボトル一本をだ。
「さっさとな」
「帰ろっていうんだな」
「お前今家あるだろ」
「彼女に住ませてもらってるさ」
「マンションか?」
「いいマンションだぜ」 
 こいつは女の家から家に渡り歩いている、実家には適当なことを言ってそうして紐生活借金生活を満喫しているという訳だ。
「本当にな」
「じゃあな」
「そのマンションでか」
「その人と一緒にいろよ」
「そうしないと駄目か」
「というかお前そもそもな」
 また説教を言った。
「いい加減まともに働いてな」
「それでか」
「真っ当に生きろよ」
 皆こう言っていて俺もいつも言っているがここでも言ってやった。
「いいな」
「俺にか」
「そうだよ、いつも言ってるだろ」
「そう言ってもな」
「働く気ないな」
「俺そういうのは嫌いなんだよ」
 笑って何の反省もなく言ってきた。
「だからな」
「それでか」
「これからもな」
「そうして生きるんだな」
「悪いか?」
「金返せよ」 
 今度はこう言ってやった。
「それならな」
「厳しいこと言うな」
「皆言ってるだろ」
 俺にしても他の奴にしてもだ、こいつの友達はだ。
「だからな」
「金返せか」
「そして働け」
「俺に出来る筈ないだろ」
「そう言ってまた金借りるんだな」
「まあ大した額じゃないさ」
「今はないんだよ、後な」
 ジンをごくごくとワインを飲みみたいに飲みながら俺にこうも言ってきた。
「今日は実際にな」
「飲んだらか」
「帰るな」
「そうしろ、稚菜が帰って来る前にな」
 妹が帰る前にだ。
「そうしろ」
「わかったさ、じゃあまたな」
「暫く来るな」
 こう言ってだった、俺は二人で飲んでから玄関まで送ってやった。それで風呂に入って上がった時に妹が帰ってきて。
 まだ片付けてないテーブルの上を見てだった、妹は水を飲んでいる俺に言ってきた。 
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