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温泉での語らい

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第一章

               温泉での語らい
 この高校の修学旅行はスキーであった、学生達は昼はスキーを楽しんだがそれは昼のことで夜はというと。
 旅館の食事を楽しんだ後は温泉だった、彼等が宿泊している場所は温泉街で温泉が幾つもあってそこを自由に入れと先生からも言われた。
 それで彼等はそれぞれ男湯と女湯に別れて入った、その中で。
 工藤裕作と渡辺道彦は二人である温泉に入った、その温泉は広い岩の露天風呂だった。そこに入ってだった。
 工藤は丸い目と尖った感じの分厚い唇のやや鳥に似た顔で言った。黒髪をやや上げており背は一七五程でやや太っている。
「ここいい湯だけえど硫黄の匂いするな」
「それは仕方ないだろ」
 渡辺はこう工藤に返した、黒髪をリーゼントにしていて面長できりっとした顔立ちをしている。背は高く百八十位ある。
「温泉だからな」
「それもそうか」
「ああ、温泉はどうしてもな」
「硫黄の匂いするか」
「むしろここはあまりしない方だろ」
 硫黄の匂いがとだ、渡辺は工藤に話した。
「むしろな」
「そういうものか、俺実は温泉ってな」
 工藤は湯の中で自分の隣にいる渡辺に話した。
「スーパー銭湯とかな」
「街のか」
「そういうのしか入っていないからな」
 だからだというのだ。
「家族で行った時に。祖父ちゃんが好きでな」
「それでスーパー銭湯によく行くんだな」
「ああ、サウナとか水風呂も入るな」
「それはいいな、けれどな」 
 渡辺は工藤にこう言った。
「スーパー銭湯はスーパー銭湯でな」
「こうした温泉と違うか」
「風呂は風呂だけれどな」
 このことは同じでもというのだ。
「そこは違うんだよ」
「そうだよな、言われてみれば」
「あとお前さっきサウナも入ったな」
「お前も入ったよな」
「俺もサウナ嫌いじゃないからな」
 だから入ったとだ、渡辺も答えた。
「そうしたよ」
「いい汗かくよな」
「あの汗がいいんだよ」
 サウナでかく汗、それがというのだ。
「身体の悪いもの出してくれてな」
「よくそう言われるな」
「こうした温泉に入るのもいいけれどな」
「サウナもいいか」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「さっき入ったんだよ」
「そうか、それで俺達も入ってるよな」
 ここで工藤は今自分達がいる温泉の中を見回した、するとその中には同じ高校の者達だけではなく他のスキー客や温泉客達もいた、皆身体を洗ったり湯舟に入ったりしてくつろいでいる。
 その中にいてだった、彼はこんなことを言った。
「女の子達もだよな」
「当たり前だろ、うちは共学だぞ」
 それでとだ、渡辺は工藤に答えた。
「それならな」
「やっぱりそうだよな」
「女の子達もな」
「女湯でか」
「温泉楽しんでるよ」
 自分達が今そうしている様にというのだ。
「俺達と同じだよ」
「やっぱりそうか、じゃあな」
 渡辺の返事を聞いてだった、工藤は渡辺に話した。 
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