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ドリトル先生の林檎園

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第三幕その十

「そうするしかないし」
「それならね」
「頑張っていきましょう」
「先生の結婚の為にも」
「あのことも運命の出会いだしね」
「運命ね、確かに僕の運命は」
 先生も感じてはいます、ただ感じているにしましてもそこはやっぱり先生なので皆が言うことには気付いていません。
 そしてです、皆にも言うのでした。
「日本に来て大きく変わったけれど恋愛は」
「どうしてもだね」
「縁がなくて」
「どうにもならない」
「そう言うんだ」
「そうだよ、僕は恋愛とは無縁だから」 
 本当にというのです。
「一生もてたことはないから」
「少しはもてるって思ったら?」
「それだけでも違うよ」
「先生より何もかもが駄目でもナルシストだっているのに」
「自分は凄いとかもてるって人いるよ」
「少しは自分を見たらって思うけれど」
「逆に先生は自分をいつも見て自己分析してるけれど」
 それでもというのです。
「もてないって勝手に思ってるから」
「まあ確かに運動神経はないけれど」
「それは事実だけれど」
「もてないっていうのはね」
「それは自己評価が低いよ」
「先生の勘違いよ」
「運動神経と外見からね」
 運動神経がなくて外見も野暮ったい、このことからというのです。先生がもてないと自分でも思っていることはこの二つからです。
 ですがそれでもです、先生はまた言ったのでした。
「その二つは大きいからね」
「全然小さいって」
「何度も言うけれどね」
「人間性格だよね」
「中身じゃない」
「先生いつも言ってるし」
「先生みたいにいい人いないから」
 動物の皆が太鼓判を押すことです。
「そんな人なのに」
「何でもてないのか」
「そこでそう思う方が不思議だよ」
「先生の自分を過信しないで謙虚なのはいいことだよ」
「それも先生の美徳よ」
「けれどその美徳も」
 どうにもというのです。
「自分自身の勘違いになるのね」
「やれやれよ」
「そんなのじゃ私達も苦労するわ」
「やれやれよ」
「けれど絶対に先生をもっと幸せにするから」
「今で充分過ぎる程幸せかな」
 先生は現状で満足しています。
「僕はね」
「さて、それはどうか」
「あえて言うけれど」
「幸せには際限がないよ」
「そして幸せは神様がもたらしてくれるじゃない」
「先生も神様が見ているから」
 それ故にというのです。
「先生には神様がもっといい幸せをくれるよ」
「今以上にね」
「だから結婚も」
「そっちも考えていこうね」
「ううん、幸せ過ぎて怖い位なのに」
 ここでこう言うのも先生です、やっぱり謙虚です。
 
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