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ヘタリア大帝国

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TURN24 バトルオブエイリスその十

「イタリン軍をイタリン本土まで追いやったのですね」
「本気でイタリン本土まで侵攻するつもりだがね」
 モンゴメリーも知的な笑みでネルソンに返す。
「だがこちらにもドクツ軍が来るみたいだね」
「はい、既にイタリン本土にドクツ軍が向かっています」
「では今度はドクツ軍と戦おうか」
「一旦スエズに拠点を移してくれるかしら」
 エルザもモニターに出て来てモンゴメリーに告げた。
「北アフリカから戻ってね」
「そうですね。やはりあの場所は軍事拠点として最適です」
「ええ。だからね」
「わかりました。ドクツ軍が来た今無理はできません」
 モンゴメリーもエルザに答える。
「では一旦スエズに戻ります」
「そうしてね」
「では私はこれで」
 モンゴメリーはエルザとロレンス達に微笑んで述べた。
「また御会いしましょう」
「またね」
 二人は親しげに話し今は別れた。そうしてだった。
 エルザもビクトリアに入った。そしてベッドの中で眠っている娘を見て言うのだった。
「本当にね。セーラちゃんは昔からね」
「頑張り過ぎるんだよな」
「何でも倒れられるまで為されます」
「そう。努力するのはよくてもね」
 母としてだ。その娘の寝顔を見て言う。
「無茶するから」
「心根が奇麗過ぎるんだよ」
 イギリスは困った様な笑みを浮かべて述べた。
「俺こんな奇麗な心根の上司は持ったことはなかったな」
「あら、じゃあ私は心根が汚いのかしら」
「いや、そうじゃないけれどな」
「確かにね。私はセーラちゃん程生真面目じゃないからね」
 エルザもわかっていた。そのうえでの言葉だった。
「お気楽なところがあるからね」
「かえってその方が安心できる時もあります」
 イギリス妹はそのエルザに述べた。共にセーラの寝顔を見ながら。
「セーラ様は。このままでは何時折れるか心配で」
「いつもはらはらしながら見てるんだよ」
 イギリスもだ。セーラを心から心配していた。
 見れば彼女は満身創痍だ。その彼女を見ての言葉だ。
「これだけ傷おってな。痛くない筈ないんだよ」
「それなのに前線に立たれますから」
「確かに女王としての責任はあるけれどな」
「無理をし過ぎです」
「そうなのよ。けれど今はね」
 エルザも娘を心配する顔で見ながら述べる。
「ゆっくりと休んでもらいましょう」
「ああ、とりあえずは勝ったからな」
「今は」
 イギリス兄妹も今は笑顔だった。そうしてだ。
 戦いを終え休んでいるセーラのその寝顔を見ていた。その寝顔は少女そのものの何の曇りもない清らかなものだった。女王としての気品と共にそれが彼女にはあった。


TURN24   完


                        2012・5・12 
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