レーヴァティン
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第百二十八話 博多からその三
「それで、です」
「肝に特に多いというな」
「ですから普通に食べますと」
「まず死ぬ」
「実際にお亡くなりになった方もいます」
その河豚の肝を食べてだ。
「非常に美味しいと聞いて」
「そして死ぬな」
「はい、ですが」
それがというのだ。
「この河豚は毒がないので」
「肝も食えるな」
「そうです、ですから」
それ故にとだ、紅葉は英雄に微笑んで話した。
「この度はです」
「肝も食うか」
「そうしましょう」
「では鍋に入れるか」
英雄は河豚肝の具体的な食べ方の話もした。
「あん肝の様にな」
「そうされますか」
「少し熱してぽん酢に入れるのもいいが」
この食べ方もというのだ。
「しかしだ」
「お鍋に入れて」
「そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「食うこともだ」
「それもですね」
「やってみるか、この世界でも河豚は食ったが」
大坂でまだ旗揚げ前に食ったことを思い出しての言葉だ。
「だがその時は肝はな」
「では尚更」
「食ってみるか、肝も毒がないならな」
それならというのだ。
「何もだ」
「食べるものを止めることはないですね」
「毒がある者を食う奴は馬鹿だ」
その場合はとだ、英雄は断言した。
「食うと死ぬかも知れないものを食うことはな」
「食べることは味を楽しみ」
「生きる為でもあるからな」
「命の危険を冒すことはですね」
「愚だ、だが」
「毒がないのなら」
「食うべきだ、河豚にしろだ」
この場合は毒がある種類の河豚である。
「毒のある部分を食わないとな」
「いいですね」
「そうだしな」
「河豚の肝も」
「毒はないなら食ってだ」
そうしてというのだ。
「味を楽しみ栄養にもする」
「その両方ですね」
「肝は栄養の塊だからな」
英雄はこのことも指摘した。
「食えれば食うべきだ」
「それは河豚だけではないですね」
「鮟鱇も他の魚もでだ」
「他の生きもののものもですね」
「牛でも鶏でも豚でもな」
それこそというのだ。
「食うべきだ」
「栄耀の為に」
「何でもホッキョクグマのものだけは駄目なそうだが」
「この浮島にはいないですね」
紅葉はホッキョクグマについても真面目に返した。
「そうですね」
「その様だな」
「はい、ですから」
「食うことはない」
「そうですね」
「起きた世界でもな」
こちらでもというのだ。
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