魔法少女リリカルなのは~とある4人の転生者~
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第5話 開いた口がふさがらない
『もしもしサクヤ?今暇?暇だね。よし、暇だ。ちょっと、〇〇に来てくれる?』
コレが事の発端だった。先日の高町美由紀によるうっかり殺人料理(色々なドジを踏みまくった結果)による事件を己の黙示録として永久に葬り去った翌日、鍛錬から帰ってそうそうにわが友人ハルこと西嶋晴信より一方的な連絡を受けた。
「まったく、コッチの返事もロクに聞かずに切りよってからに…」
「まあまあ、そうカッカすんなさ」
イライラしているとファースト…海斗の奴が諌めてくる。ただいま、臨海公園のベンチにてこの赤毛と共に元凶であるハルを待っていた。
「こっちはこっちで入学式という名の公開処刑の下準備をしなくちゃならんというのに…」
「小学校…サクやんも聖祥さ?」
「ああ。悲しいかな、せめて私服のところがよかった。喜べる点が友人と一緒ってことだけだ。てか、なんだサクやんって?」
「あだ名ってやつさ~。サクやんも俺のこと好きに呼ぶさ」
「わかった、少し黙ってろヘタレ」
「何でさ!?なんでヘタレなんさ!?」
「なんとなく。お前見てるといざ告白ってなったときに何も出来なさそうだから」
「ほっとけ!」
「え?」
もしかしてマジだったのか。あいかわらずスゴイ無駄な直感力。
「つ~か、サクやん友達できたんさ?」
「まあ、一応な。鍛錬で通ってる神社の巫女見習いで俺らと同じ年」
「はぁぁぁあああああああ!?」
「うわ!?」
いきなり隣でバカが叫びだした。しかも、それだけに飽き足らず俺の肩を掴んで揺さぶってくる。
「テメッ、なんなんさ巫女さんって!ドンだけスゴイのサクやん!?」
「知るかっ!てか、揺らすのやめい!」
「ゴフッ!」
とりあえず、鳩尾に一発入れて沈黙させる。
「ナイスパンチ!」
という、今朝聞いた声が足元(・・)から聞こえた。
「何やってんのお前?」
「見てのとおりマンホールから出ようとしてるんだ」
下に視線を向けるとやはり、今朝の声の主がまん丸にあいた穴から顔だけをのぞかせている。
「why?」
「いや、だってここも入り口だし」
「何の?」
「決まってるじゃないか、僕たちの秘密基地のさ」
「マジで?」
「マジマジ。大マジ。というわけで君らを呼んだわけは理解たと思うからフォロー・ミーだよ」
「…合点。行くぞ海斗。早く立たんとおいてくぞ?」
「も、もうちょっとだけ、待って欲しいさ…」
「しゃーない、ほれ行くぞ」
「って、ちょっと待つさぁぁぁああああああああ!」
さっきのダメージが重かったのか倒れ付したままの海斗を肩に担いでそのまま穴に向かって飛び降りた。最近修行の成果か、たかが10メートル程度なら階段の段差とそう変わらないように感じてきた。
「よっと。着いたぞ下水道に」
「し、死ぬかと思ったさ」
地面に着いたので海斗をおろす。このまま抱えて行ってやっても良かったのだが、『おろしてくれ、後生だから』とか言われたのでおろしてやった。
「2人ともちゃんと着いてきてね?」
「へいへい」
「わかったさ」
それから少し歩くと行き止まり、壁にぶち当たった。
「行き止まりだな」「行き止まりさ」
「ふっふっふ、何を仰いますかここが入り口なのだ!」
と言って、ハルが手を翳すと何かが外れる音がして…
「マジかよ…」
古びた壁の先に綺麗(・・)な通路が現れた。
「ようこそ、我が秘密基地『庵治戸』へ」
「…」「…」
「どうしたの2人とも?」
どうしたってコレ…
「「めちゃくちゃガチじゃん(さ)!!」」
やべ、本格的過ぎて開いた口がふさがらねぇ!某ジャンプ漫画のマフィアの秘密基地張りじゃねぇか。
「当たり前でしょ。技術チートに掛かれば男のロマンもちょちょいのちょいだよ。ささ、入った入った」
ハルに背中を押されて庵治戸に入ると後ろでドアが閉まった。
「まだ、完成とは言いがたいけど部屋を案内するね」
「…」
「これで完成じゃないのかよ」
技術チート恐るべし。
「てか、お前どうやってこんなもん造ったんだ?手が足りないと思うが」
「ああ、地中に空間を作ったのは僕の大地の変換資質だよ。それでここら一帯を抉って特別に造った秘密基地製造マシーン君達に造営させたんだ」
「秘密基地製造マシーンスゲェ!めちゃくちゃハイスペックだ、正真正銘のハイスペックだ!」
「でも、まぁこんなことだけに使ってるのがばれると版権元に文句言われちゃうから処分しちゃったんだけどね」
「開発者は廃スペック過ぎてメタ発言しだした!?誰だよ版権元!」
「そんなのS.セ〇ール監督に決まってるじゃん。さすがに宇宙で活躍するド〇イドを地下で働かせるのはまずいと思ったからね」
「あいつらこんなとこにまで進出してきてた!確かに愛くるしいけどさ!別にいいじゃん、そんなに間違ってるわけじゃないし!」
「まぁ、もういないやつらのことはなしても意味ないし部屋の紹介いこうか?」
「あいつらに謝れぇぇぇえええええええ!…ハッ、俺は一体何をしていたんだ?」
なんか、触れてはいけない何かに言及していた様な気が…別にいいか。忘れるなら大した事じゃないんだろ。
「あ、ストップ。ここの説明するね?」
「なんだここ?」
長テーブルが並んでいて、奥にカウンターがある。まるで…
「見てのとおり食堂さ!」
《バタン!》
ずっこけて思いっきり頭をぶつけてしまった。地味に痛い。
「なんで造ったの!?必要だったかこれ?」
「あって困らない設備だからね。その代わりメカニックルームが後回しになって全然完成してないんだけど」
「逆だろ!普通絶対逆だよなぁ!?」
「まあ、そんな細かいことはおいといて次行こうか?」
ハルに続いて次の部屋に入る。
「広いな」
「まぁ、そんくらいないと使えないでしょ?」
広大なスペースが広がっていたここはさしずめ模擬戦用のフィールドと言ったところか。
「たしかにな。こんくらいあれば暴れられそうだな」
「何言ってんのさ。ここは倉庫(・・)だよ?」
「は?」
「いや、だから倉庫だって」
「トレーニングルームじゃなくて?」
「倉庫」
「じゃあ、トレーニングルームは?」
「まだ未完成」
「…お前ってひょっとしてバカ?」
「お笑いに昔から興味があったんだ。こういうボケもいいよね?」
「じゃあ、ツッコミが必要だな?」
「いや、ご遠慮願うよ」
握られた拳を見て後ずさってく。アホらしかったので拳を解いて、次を促す。
「次は真面目だからね」
「そういう前置きがあると尚更疑いたくなるんだが。海斗も何か言ってやれよ…うん?」
「あれ?」
ふと、振り向いてみるが着いてきているはずの海斗の姿が見えない…
「…今までの道中に果たしてはぐれるような難所があっただろうか?」
「ないね。ま、大丈夫だよそれも含めて次の目的地に用があるんだから」
「?」
「ああ、次の目的地はね…庵治戸の中枢部であるオペレーションルームなんだ」
……
…
「ただいま、戻ったよ!」
「や、誰に言ってるんだし」
部屋に入った瞬間にハルの奴がそんなこと言うから誰かいるのかと思ったが…誰もいない…
『お帰りなさい』
と思ったらスピーカーから女性の声が流れてきた。
「いい子で留守番できてたかな?」
『もちろんよ。あ、そういえば食堂でコソコソしてた子が居たんだけどどうする?』
その言葉と共にモニターに先程見てきた食堂で一人ご飯を食べる海斗が映し出される。
「うん、強制的にここに連れてきてくれる?」
『了解』
『へ?って、また落ちるんさ!?』
その瞬間、モニター内で海斗の真下に突如穴が開きそこに海斗が消えていった。
「デジャブだな」
「だね」
「フゲッ!?」
天井に穴が開いて、何かが降ってきて地面に落ちた。…顔から。
「うわ、痛そうだな…」
「あぁ、鼻血出てる。かわいそうに」
『歯も折れてるわね。お大事に』
おい、やったのお前らだろうが!
「いきなりなんなんさ!?」
アレ?いつの間に傷が消えてる!?なんだアレ魔法か?魔法なのか?
「つまみ食いはメッ、だよ?」
「う、ハ~イ」
ハルが大人ぶって(中身はそうだが)注意をすると海斗も反省しているのか頷く。
「って、ハルこの声誰なんだ?」
先程から聞こえている女性の声の主を唯一知っているであろう人間に問いただす。
「ああ、彼女は『庵治戸』のコントロールをしているAI、『シイナ』だよ」
『紹介に預かったシイナよ。よろしく』
「ああ、よろしく」「よろしくさ」
「で、彼らが僕の友人の東堂朔也と南海海斗だよ。2人には通行許可を出してあげてね」
『ん、海斗と朔也ね。確かに登録し(おぼえ)たわ』
ハルを介しての自己紹介を済ませ、機能の説明に入る。
「オペレーションルームでは庵治戸の管理はもとより、海鳴市の各所に配備されたセンサー類の機器によって魔力を監視することも出来るようになっているんだ」
ああ、もちろん画像も出せるよと言ってハルは手近なモニターに海鳴市に配置されているであろう一台のカメラの映像を出す。そこには…
「『「「…なにやってんだ(さ)(るんですか)、アイツ」」』」
公園で見た少女、なのはちゃんの後ろを歩いている北郷一輝…セカンドだった。
この瞬間はこの場にいる全員(AIも)開いた口がふさがらなかった。
…ちなみにその後セカンドはなのはちゃんの兄と思われる男性に睨まれて逃走を図った。
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