恋人はラガーマン

　　　　　　　　　　　　　　　恋人はラガーマン
　冴木美来は八条学園高等部商業科の二年生だ、背は一四八程で長い黒髪を後ろで三つ編みにして束ねている。
　童顔でやや垂れ目であり口は普通の大きさで明るい顔立ちをしており胸はわりかし大きい。部活の卓球部に精を出している。
　だがその彼女についてだ、友人達は彼女自身に言った。
「いや、確かに私達彼氏ゲットには苦労してるわよ」
「商業科って女子の方が多いからね」
「だから彼氏ゲットは肉食よ」
「そうじゃないとやっていけないわ」
「けれどね」
「あんたの場合は極端よ」
「極端って言われても」
　所謂アニメ声でだった、美来はクラスで自分に言う友人達に話した。
「それでもね」
「それでもっていうのよね」
「あんたの場合は」
「相思相愛だから」
「そうなったからっていうのね」
「そりゃね。私は小さいわよ」
　美来は自分の背のことも話した。
「背は一四八だから」
「文句なしに小さいわね」
「一五〇ないからね」
「クラスで一番小さいから」
「胸はあるにしても」
「それでもね」
　小柄だが、というのだ。
「それとあの人のことは関係ないじゃない」
「大ありよ」
「相手は二メートル近いじゃない」
「本当に二メートルない？」
「日本人離れした体格よ」
「殆ど関羽さんじゃない」
「いや、関羽さん二メートル超えてたっていうから」
　美来はそのことはしっかりと否定した。
「流石にそこまでは大きくないわよ」
「それでも一九〇あるでしょ」
「普通にね」
「誰がどう見ても大男じゃない」
「体格も凄いし」
「だから背とか体格は関係ないでしょ」
　美来は眉を顰めさせてまた言った。
「そういうのは」
「いや、だからね」
「あんたの場合はね」
「極端過ぎるのよ」
「お互いの体格が」
「大人と子供位に」
「体格の違いが問題なら」
　それならとだ、また言う美来だった。鮮やかな赤のブレザーとミニスカートの制服だ。ブラウスは城でリボンのタイは黒である。
「何も出来ないでしょ」
「問題は気持ちっていうのね」
「お互いの」
「そのことが問題で」
「体格はっていうのね」
「そうよ、私が幾ら小さくても」
　自分でそれはわかっていてもというのだ。
「恋愛には関係ないでしょ」
「ううん、そこまで言うならね」
「それならね」
「私達にしても」
「言わないけれど」
「何かセントバーナードとチワワ」
　犬にも例えられた。
「そんなのだからね」
「そんな感じよね、本当に」
「それかブーマーと大石大二郎ね」
　今度はかつての在版球団の野球選手達に例えられた。
「それ位の差があるわよね」
「けれど恋愛は体格じゃない」
「そうなのね」
「だってあの人凄くいい人なのよ」
　美来は友人達に笑顔で話した。