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独裁者になってみた

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第五章

「だからな」
「大変か」
「ああ、面白いけれどな」
「それでもか」
「内政、外交、インフラ、教育、経済、司法、貿易、治安、軍事、全部俺一人で動かしてな」
「議会のこともだな」
「政党だってな、それで油断するとな」
 そうなると、ともだ。修治は話した。
「寝首掻こうとする奴とか暗殺しようとする奴とかな」
「出て来てか」
「もうな」
 それこそという口調はそのままだった。
「気の休まる間もないぜ、何か独裁者の健康もな」
「そちらもか」
「ずっと仕事してるんだぜ」
 ゲームの中でそうなっているというのだ。
「朝から明け方までな」
「一日の殆どだな」
「睡眠時間四時間でな」
「そんな生活ばかりか」
「寝られない日もあって」
 仕事が多くて、というのだ。
「ちょっとしたことで病気になりそうだよ」
「そして病気になるとな」
「また後釜狙う奴がな」
「寝首をか」
「そうしてくるし政治も止まるんだよ」
 自分が病気になればというのだ。
「そうなるからな」
「倒れることもだな」
「健康不安だってのにな」
 激務のあまりというのだ。
「そうだからな」
「気の休まる暇もないな」
「全然な、もうこんなに大変だってな」
 それこそとだ、またこの口調で言うのだった。
「思わなかったぜ」
「言い忘れていたけれどな」
 ここで徹は修治に話した。
「独裁者は国の権力の全部を自分に集めているな」
「だから独裁者だよな」
「権力を集めるとな」
 それでというのだ。
「その分仕事も来るだろ」
「権限を持つとか」
「それを管理してな」
「決めないといけないよな」
「だからな」
「権力を集めれば集めるだけか」
「仕事が増える」
 徹は冷静な声で述べた。
「そうなる」
「そうなんだな」
「そしてだ」
 徹はさらに話した。
「ヒトラーもスターリンも手塚治虫さんクラスで働いていてな」
「あの人凄かったらしいな」
「徹夜も珍しくなくてだ」
 平均睡眠時間もかなり短かったという。
「そのせいで過労死だったともな」
「言われてるか」
「その手塚さんと同じだけな」
「働いていたんだな」
「ヒトラーは明け方まで仕事してだ」
「ゲームの俺まんまだな」
 修治はその話を聞いて言った。
「それって」
「遅くとも九時にが起きてだ」
「そこもゲームの俺みたいだな」
 修治はまた言った。 
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