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第四章
「本当にね」
「機械じゃないんだから」
「人間としてはどうかってね」
「そうなるけれど」
完璧過ぎると、というのだ。
「八条君ってね」
「あれで抜けたところもあるから」
「歩いていてたまに躓いたりするし」
「こけないけれど」
そこまでの失敗はしないがというのだ。
「それでもね」
「ああした抜けたところもいいのよね」
「本当に人間何でも万能だったら白けるわよね」
「もう一人でいいじゃないってなって」
完璧過ぎるとそうなるというのだ。
「本当にね」
「けれどそうした子でもないし」
「とはいっても性格は凄くいいし」
「尚且つ御曹司だしね」
「大金持ちの」
八条家の子息だというのだ。
「それじゃあね」
「ああした子だとね」
「本当にいいわね」
「全くよね」
「高嶺の花でも」
そう思っていてもというのだ。
「告白したいわね」
「そうよね」
「是非ね」
こうしたことを話してだ、そしてだった。
クラスメイト達も八条を見ていた、それも熱い目で。それは他のクラスもそうであって学年が違ってもだった。
とにかく彼は人気だった、双子はそれを見て話した。
「いや、特別休暇貰って調べてるけれど」
「有給でね」
「どう見てもね」
「義統様もてているわね」
「大人気じゃない」
「どれだけもててるのよ」
それこそというのだ。
「あの方は」
「正真正銘の美男子だけあるわね」
「しかも将来性あるし」
「将来は八条家の総帥よ」
「このことを言う娘もいたし」
「誰が見ても」
本当にというのだ。
「ああした方はね」
「もてない筈がなかったし」
「実際にもててるし」
「それでどうしてかしら」
双子はここで首を傾げさせた、居酒屋の個室で二人でウイスキーをロックで飲み肴にローストビーフを食べつつ話している。
「義和様はもてないとかね」
「そう言われるのかしら」
「予想通りもててるし」
「私達の予想通りにね」
「おかしいわね」
「これは何かある?」
二人で向かい合って和風の掘りごたつ方式の部屋の中で話す。
「義統様ご自身に」
「ひょっとしてね」
「やっぱりそうじゃないとね」
「もてないとか言われないわよ」
八条自身がというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
二人は次第に八条自身に何かあるのではと思いはじめた、そして今度は彼のことを調べることにした。すると。
ラブレターを貰ってもだった。
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