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オズのキャプテン船長

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第十幕その四

「生まれる前に活躍していた選手が今でも愛されているなんて」
「アメリカだとね」
 トロットも言いました。
「それこそね」
「わし等は観ていないがね」
「この目ではね」
「外の世界でのお話だから」
「ベーブ=ルースさんとかね」
「あの人位だね」
「そうよね」
「ベーブ=ルースさんは私も知ってます」
 恵梨香はこの偉大な野球選手の名前を聞いても言いました。
「沢山のホームランを打った人ですね」
「うん、そうだよ」 
 船長もすぐに答えます。
「物凄い選手だったんだ」
「そうでしたね」
「わし等は外の世界から映像で観ていたよ」
「テレビで、ですか」
「オズの国ではその頃からそれに近いものがあったからね」
「あの何処でも観える鏡ですね」
 オズマが持っているあの魔法の道具だとです、恵梨香はわかりました。
「あの鏡で、ですか」
「観ていましたか」
「あの人も他の選手達もね」
「ディマジオやルー=ゲーリックも観ていたよ」
 モジャボロもお話に加わりました。
「僕達はね」
「その人達もですか」
「他のスポーツもね」
「そうだったんですね」
「そう、ただね」
 それでもとです、モジャボロは恵梨香に言うのでした。
「バースさんは凄い人気だね」
「はい、本当に今でもです」
「恵梨香達の間ではだね」
「阪神ファンの間では」
「それだけで凄い選手だってわかるよ」
「というかね」
 ここで言ったのはビリーナでした。
「恵梨香金髪でお鬚生やして大きい人観てよね」
「バースさんって言ったことが?」
「それが凄いわ」
「とはいっても」
「恵梨香っていつもこうだよね」
「そうなんだよね」
「金髪の白人の人で濃い顎鬚生やしてて体格がよかったら」
 ナターシャ達四人も言います。
「いつもそう言うから」
「バースさんに似てるって」
「本当に誰でも」
「国籍とか民族に関係なく」
「ついつい思い出すの」 
 恵梨香は四人に真面目なお顔で答えました。
「実際にね」
「それだけバースさんへの思い入れが強いのね」
「そういえば他の日本人の子達もだね」
「そうした人を見ればバースさんって言うね」
「本当にどの子もいつも」
「そういえば」
 船長は四人のお話を聞いて気付いたことがありました、その気付いたことは一体どういったものかといいますと。
「君達が通っている八条学園は関西にあるね」
「はい、阪神のある」
「その関西にあります」
「それで関西の子が多くて」
「恵梨香なんか完全に地元ですし」
「皆阪神が好きよ」
 その恵梨香も言います。
「関西の人はね」
「それでバースさんは今も愛されていて」
「体格のいい金髪の白人さんが濃いお鬚を生やしていたら」
「バースさんに見えるんだね」
「思い出すんです」
「そういうことだね」
「本当に私のお父さんやお母さんが生まれるかどうかという時の人で」
 その頃に活躍していたというのです。 
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