リュカ伝の外伝
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父の叱咤
前書き
作中の新曲は
「デビルマンの歌」のリズムで歌ってください。
PS:外国の方がYouTubeで「デビルマンの歌」を
格好良く歌ってました。
https://www.youtube.com/watch?v=3lPqYlAYImo
(グランバニア城:国王執務室)
ウルフSIDE
「い、痛い。そんなに強く引っ張らないで、痛いわよ!」
「うるさい、さっさと来い!」
俺は余りにも他者の心情を考えられない不良品美女を何とかしようと、製造元へやってきた。
(コンコン)「失礼します」
「如何したの?」
俺はリュカさんの執務室のドアをノックし、マリーと一緒に入室する……彼女の腕をしっかりと掴んで。
「アンタの娘が、また酷い歌を作りやがった」
「お前の恋人が、また酷い歌を歌ったのか」
ある意味責任の押し付け合い。
「い、言うほど酷く無いわよぉ……」
「そう思ってるのなら、ここで歌ってやれよ。パパも聴きたがってるぞ」
多分聴きたくは無いだろうが、流石に何も言えず黙っている……渋い顔で。
「じゃ、じゃぁ……僭越ながら」
♪好きだと言わしてピエッサちゃん♫
♪愛してるんだよレクルト君♫
♪イカした昨晩思い出し♫
♪今日も華麗に欲情するよ♫
♪方や 軍の 重鎮 総参謀長♫
♪方や ピアノ 弾くだけ 脇役♫
♪格差 格差 格差 格差は彼等を♫
♪男女 男女 男女の関係にするのさぁ♫
♪格差 格差 格差 格差がデカいと♫
♪濡れる 濡れる 濡れる 女は濡れるよぉ♫
♪さあさ 今夜もベッドでパコろう♫
♪女は権力(ちから)を 待っている おー♥♫
マヂで歌いやがった。
歌えとは言ったが、平然と歌いやがった。
本当に自分が酷い歌を歌ってるって自覚無いんだな。
リュカさんは聴いてる途中で頭を押さえて俯いちゃったよ。
当の本人は歌いきり満足げに胸を張る。
コイツには何を言ってもダメなのか?
♪あれは何だ 何だ 何だ♫
♪あれはマリー♫
♪音痴の歌姫(アイドル)♫
♪美しいだけの顔付けて♫
♪人前で歌う鋼の心♫
♪ポップスソングは ほぼパクり♫
♪アニメソングも ほぼパクり♫
♪演歌だって ほぼパクり♫
♪ロックンロールは まるパクり♫
♪自分じゃ何も 生み出せない♫
♪音痴の歌姫(アイドル)♫
♪マリーさん マリーさん♫
頭を抱えて俯いてたリュカさんが、突如顔を上げると歌い出す。
完全にマリーをディスる内容の歌を。
先程までドヤ顔だったマリーも、これを聴いて顔を真っ赤にして怒る。
「私、音痴じゃないわよ!」
「如何だ自分を悪く言われる気分は!?」
自分を悪く言われた事に文句を言うマリーを厳しい口調で諭すリュカさん。
今は言わないが、リュカさんも人を悪く言う歌を歌ってますよ。
「だ、だって……これは……その……」
グウ音のも出ない返しに口籠もるマリー。
手もモジモジさせて少し可愛い。
「もっと皆が楽しめる歌を作れよ。アレなんか良かったじゃん……『ウ~ルポンポン』とか」
その歌、俺は楽しめねーよ!
「で、でも……『ウ~ルポンポン』はお父さんが最初に作ったんじゃん!」
「な、何だと!? 結局お前が原因か!!」
「あれぇ……そうだったけぇ?」
「そうよ、お父さんが私に『こんな歌作った』って教えてくれたんじゃん」
「と、兎も角……他者を貶める歌を作るなって事! じゃぁ解散!!」
そう言うとリュカさんは、俺とマリーを執務室から追い出した。
納得いかん。
『ウ~ルポンポン』が今回の様な他者を貶める歌の起源みたいなものだし、最終的にはリュカさんの所為じゃねーか?
この親娘には面倒をかけられっぱなしだ!
くそぅ……
この女に惚れた所為で、えらい目にあってばっかりだ。
いっそ別れてやるか?
そんな事を考えながら俺より頭一つ背が低いマリーに視線を移す……
俺の考えを知ってか知らずか、俺を見上げて「テヘッ♥」と舌を出す。
……可愛いんだよ! ふざけんなよ! 別れるかよ!!
後書き
誰の目から見ても
ウルフの不幸はマリーに目を付けられた事。
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