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レーヴァティン

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第百二十三話 讃岐からその十三

「恩義のある一条家を攻める時にな」
「迷ったな」
「土佐統一の為には一条家も倒さなあかんかったが」
「それでもだったな」
「恩義がある」
 一条家にはというのだ。
「色々と助けてもらったな」
「だからだったな」
「戦うと信義を破る」
「そう思ったな」
「それは地獄に落ちる罪かも知れんってな」
「そこまで思ったな」
「そうやった、戦国の世でもや」
 信義なぞないとされた時代でもというのだ。
「そう言ってた」
「確かに長曾我部家は一条家を土佐から追い出したが」
「それでも迷った、やっぱりな」
「信義はだな」
「出来るだけ守るのが人の筋で」
「守るべきだな」
「そのせいか長曾我部家は土佐を統一出来て」
 その一条家を土佐から追い出してだ、流石に滅ぼすことは憚れたのか一条家の主達の命は取っていない。
「四国全体も手中に収めたが」
「滅んだな」
「そや、秀吉さんに攻められて」
 まずはここからだった。
「土佐一国にまで戻されて」
「そのうえでな」
「関ヶ原で負けたんはよかったが」
 これは元々長曾我部家が東軍につくつもりだったので徳川家康にしても大目に見るつもりでそうした。
 だが、だ。それでもだったのだ。
「お家騒動でな」
「執り潰されたな」
「そうなった、それで大坂の陣でな」
「主の長曾我部盛親が大坂方についたな」
「お家再興を賭けてな」
「だが敗れてな」
「最期は捕まって斬られたやろ」
 耕平はこのことを話した。
「これは若しかするとな」
「因果応報か」
「一条家との信義を破ったな」
「そうしたことからもか」
「信義は出来るだけな」
「守った方がいいか」
「わいはそう思うで」
 耕平は英雄にこう話した。
「こっちの世界でもな」
「そしてそれがだな」
「この世界を救うモンの器でもあるやろ」
「信義を守れずしてか」
「世界を救えるか」
「そういう問題でもあるか」
「わいはそうも思うわ」
 こう英雄に話すのだった、そうしてここで一同は一旦茶を飲んだ。そうして伊代の掌握をさらに進めるのだった。


第百二十三話   完


                  2019・7・23 
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