彼女は狼少女
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第三章
「どうも」
「それはわかるよ、ただね」
「ただ?」
「いや、すみれちゃん狼少女だったんだね」
「そうなんです、ですから満月の時とかは夜出歩かない様にしています」
「その方がいいね」
「それでなんですけれど」
この話からだ、すみれは勇気に顔を向けて彼に問うた。
「私がワーウルフって聞いて」
「正直驚いてるよ」
「化けものとか思っています?」
こう彼に問うのだった。
「やっぱり」
「そう言われたら」
「ワーウルフってモンスターですよね」
「RPGだとそうだよね」
「よく敵で出ますよね」
「そうだね、ただ」
それでもと言うのだった、すみれに対して。
「そう言われても実際見ていないし」
「内緒にしていますし」
「まあこんなこと普通言わないよね」
「思わず口が滑って、それに」
「それに?」
「付き合ってる人に隠しごととか」
すみれは顔を赤らめさせて勇気に話した。
「それはよくないので」
「だからなんだ」
「それで振られたらとか」
「いや、それは」
勇気はこの言葉は無意識のうちに出してしまった。
「考えなくていいよ」
「そうですか」
「だってすみれちゃん性格いいし」
穏やかで丁寧な性格だ、育ちではなく両親の教育即ち躾がいいことがわかる性格だ。その性格が勇気が彼女を一番好きな点なのだ。
「それに可愛いから」
「だからですか」
「いいよ」
「ワーウルフになっても」
「というかそれ期間限定だよね」
考えてみてだ、勇気は言った。
「そうだよね」
「はい、満月の時だけで」
「満月を見た時だけだよね」
「その光を浴びれば」
「満月に近い月でも」
「そうなります」
ワーウルフ、狼少女にというのだ。
「その時だけは」
「それでその時期でも光を浴びないと」
「ならないです」
ワーウルフにというのだ。
「絶対に」
「お昼全然関係ないよね」
即ち学校の時はというのだ。
「そうだよね」
「はい、お日様の光では」
どうかとだ、すみれも答えた。
「何もありません」
「じゃあ朝やお昼は」
「満月の時でもです」
「変身しないよね」
「全く」
「しかも身体が変わっても」
勇気はすみれが先に言ったことを自分でも言った。
「心は変わらないよね」
「何も」
「食べものの好みも」
「それじゃあ別にね」
考えてみてもだった、勇気も。
「いいよ」
「そうですか」
「そりゃさ、俺だってワーウルフに変身して」
そのうえでというのだ。
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