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麗しのヴァンパイア

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第百七十五話

第百七十五話  大蒜は
 今田先生はこの時は大蒜が多く入ったアヒージョやパエリアといったスペイン料理を赤ワインと一緒に楽しんでいた。
 その時に料理を作った自身の使い魔達に言われた。
「あの、ふと思ったのですが」
「ご主人は今大蒜を楽しまれていますが」
「オリーブもですが」
「大蒜は吸血鬼の弱点でしたね」
「苦手なものの一つですね」
 こう今田先生に言うのだった。
「確か」
「左様でしたね」
「十字架や銀や日光と共に」
「苦手だと記憶していますが」
「それは種類によりますね」
 今田先生はパエリアを食べつつ答えた。
「吸血鬼の」
「種類といいますと」
「それはどういうことですか」
「まさか吸血鬼にも」
「吸血鬼は世界中にいまして」
 今田先生は使い魔達にこのことから話した。
「多くの種類がいます」
「そうなのですか」
「吸血鬼は多くの種類がいるのですか」
「それは知りませんでした」
「そうなのです、日本にもいますよ」
 吸血鬼はというのだ。
「ドラキュラ伯爵だけが吸血鬼ではありません」
「あの有名な、ですね」
「吸血鬼の代名詞の方ですね」
「カーミラ嬢と並ぶ」
「それだけの吸血鬼ですね」
「あれは映画のことで実際のドラキュラ伯爵も日光は嫌いですが」
 それでもというのだ。
「その下にいられますし多くの種類の吸血鬼達は」
「大蒜も平気ですか」
「十字架や銀も」
「そして日光も」
「そうです、お昼に活動する吸血鬼もいまして」
 そしてというのだ。
「大蒜や十字架や銀にも強い」
「そうした吸血鬼もいるのですね」
「一概にそうは言えないのですね」
「そうしたものに弱いとは」
「日本の吸血鬼は勿論平気ですよ」
 大蒜や十字架が弱点ではないというのだ。
「全てキリスト教のお話ですから」
「あっ、十時かはキリスト教ですね」
「言われてみれば」
 吸血鬼達も頷いた、そうしてだった。
 先生の食事の世話をしつつ話を聞いた、吸血鬼と大蒜等の関係を。


第百七十五話   完


              2019・7・11 
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