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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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無印編:トークルームⅤ

 
前書き
白き鋼鉄のXクリア…トークルームでも伏線張ってたわ…

ラスボスは少々予想外だったけども楽しかった。 

 
《プレゼント》


「おい、テーラ。手を出せ」

「はい?」

兄さんが手渡したのはミッションの最中で見かける宝石と髪飾りの紅いリボンだった。

「日頃の礼だ。受け取ってくれ」

「良いのですか?」

「でないと悩んで選んだ意味が無くなるからな」

「ありがとうございます…あ、少し待って下さい…どうですか?」

テーラは早速リボンを髪に結ぶと兄さんに見せる。

彼女の金髪に紅いリボンはとても良く似合っていた。

「ああ、似合ってるぞ…」

「うん、テーラちゃん!凄く可愛い!」

「とても似合っているよ」

「ありがとうございます」

僕達からの言葉にテーラは嬉しそうに微笑んでいたのがとても印象的だった。


《伝説のロックスター》


シアンがヘッドフォンを耳にかけ、体を揺らしていた。

どうやらかなり熱中して聴いているようだ。

「あっ、ごめんなさい…歌を聴いていたの…」

「凄く集中して聴いていたみたいだけど何の歌?」

「アオイって…分かる?」

アオイ……僕らが生まれるより前に大ブレイクした女性ロックスターだ。

「クラスで話題が出てね…久しぶりに聴きたくなっちゃって…やっぱり、伝説のロックスターは凄いね…聴き入っちゃった」

「モルフォの歌も大したものだと思いますよシアン?」

テーラが紅茶とお菓子を持って来るとシアンに向かってそう言うが、シアンは首を横に振る。

「それはあくまで第七波動の…モルフォの歌だから…私自身が、喉を痛めて歌っているわけじゃない…アオイは自分の歌と演奏だけでこれだけ多くの人の心を掴めている…やっぱり凄いよ」

「シアン…」

「(やはりシアンはアイドルに未練があるようですね…自分の力で歌うと言うことは…不可能に近いことが残念でなりませんね…出来るなら生きている時くらいは思い切り歌わせてあげたいものですが…)」


《シアンのお料理》


夜遅くだというのに、キッチンから灯りが漏れていた。

気になって覗き込むと、シアンとテーラがキッチンに立っていた。

「シアン、このお料理はお醤油こさじ一杯とみりん少々です。」

「う、うん…でも少々ってどれくらい…?」

「それはですね…」

どうやらシアンはテーラに料理を習っているようだ。

本当はシアンの方がテーラより年上なんだけど、ああやってシアンに料理を教えているところを見ると姉のように見える。

「はい、これで大丈夫ですよ」

「ありがとうテーラちゃん」

「いえ、頑張って下さいねシアン」

微笑ましい光景に僕はそっと自分の部屋に戻ることにした。


《しめじ》


窓を開け、夜風に当たっていると一羽の小鳥が迷い込んできた。

「…こんな時間に珍しいな」

「わっ!」

人に慣れているんだろうか?

小鳥がシアンの肩に止まる。

「恐らくシアンを鳥の巣と間違えたか」

「もしくはシアンを絶好の羽休め場所と見たかですね」

「お兄さんとテーラちゃん…私を何だと思ってるの…?…でも可愛い…」

「シアン?」

「…ねえみんな…この子飼っちゃ駄目?」

「……この鳥は自由だ…その自由は、僕らが縛っていいものじゃないさ」

「そっか…そうだよね…」

シアンは両の手のひらで小鳥をそっと包み込むと、窓の外に差し出した。

小鳥はしばらくシアンの手の上に止まっていたが、やがて飛び立ち、夜の闇へと消えていった

「さようなら…しめじ…」

「「「………」」」

「あの…しめじとは…あの鳥の名前ですか?」

「え?そうだよ?」

「それは少し酷すぎるぞ…もう少しマシな名前は思い浮かばなかったのか…」

この短期間で名前までつけていたのか……その名前は…どうかと思うけど…。


《たこ焼きはボール状のお好み焼きですよね?》


「この間、初めてたこ焼きを食べたの…」

たこ焼き…私は食べたことはありませんが、前にテセオが見ていた動画で見たことはあります。

「たこ焼きとは、あのボール状のお好み焼きですよね?」

「……!違うよ…?たこ焼きは、たこが入ってる物…」

「え?ですが、たこが入ったお好み焼きもあったと思いますけど…たこ焼きとお好み焼きは形が違うだけで同じものですよね?」

「……!違うもん…!」

「シアン…?どうしたのですか?」

「知らないっ!テーラちゃんの馬鹿っ!」

「…?」

どうしてシアンが怒ったのか…私には全く分かりませんでした…。

「たこ焼きとお好み焼きの形以外の違いは何なのでしょうか…?」

私はたこ焼きとお好み焼きの違いに悩み、偶然近くを通り過ぎたソウに尋ねてみました。

「ソウ、たこ焼きとお好み焼きの違いとは何ですか?」

「む?どうしたいきなり?」

「シアンにたこ焼きをボール状のお好み焼きと言ったら拗ねられてしまいまして」

「たこ焼きは主食でお好み焼きは副食の傾向があるからだろう。」

「そうなのですか…」

「ああ、一部の地域ではお好み焼き定食というのもあるらしい」

「なるほど、シアンは主食のたこ焼きをおかずのお好み焼きと似た物と言ったから怒ったのですね」

「まあ、見た目通りシアンは心身共にガキだ。時には癇癪を起こすこともあるだろう。黙って流してやれ」

「そうですね、それだけシアンもここでは素直になれるということなのでしょう。」


《見習い天使のエコロちゃん》


ソファに見慣れないぬいぐるみが置いてある…。

「…シアン、テーラ。このぬいぐるみは?」

「この前、ジーノさんがプレゼントしてくれたの」

「どこかで見たことあるような気がするけど…何のキャラクターだろう」

「GV…知らないのですか?見習い天使のエコロですよ?」

…エコロ…どこかで聞いたことがあるはずだけど、思い出せない。

でも、青くて銃を使う天使か…親近感を覚えるな。

今度ジーノに何のキャラクターか聞いておこう。


《カップ焼きそば》


シアンがシンクの前で何かをしている…。

「ふふ~ん♪焼っきそば~♪」

あれは…カップ焼きそば…夜食だろうか。

「まさか…カップ焼きそばなんてものがこの世にあっただなんて…3分経った…後はお湯を捨てるだけね…一体どの段階で麺が焼かれるんだろう…?テーラちゃんに聞いても分からないらしいし…テーラちゃんはきっと未知の技術が使われているんじゃないかって言ってたけど…」

「あいつ…何を勘違いしているんだ…」

兄さんが呆れている。

しかもテーラまで…勘違いをしているみたいなんだよね…と、彼女はお湯を一気に捨て始めた

温められたシンクがボコン、と大きく音を立てる

「きゃっ!?今の音…何…?」

「シアン…」

僕と兄さんは顔を見合わせて、僕は苦笑して兄さんは溜め息を吐いた。 
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