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レーヴァティン

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第百二十話 王都攻略その八

「君もね」
「皇帝になることをか」
「考えてみたら?首都はローマだし」
「ローマ帝国か」
「そう、ローマ帝国皇帝になってみる?」
 久志に笑ってこうも言ったのだった。
「この世界で」
「何か凄いことになってきたな、いや」
 自分で言った言葉をだ、久志はこう言って打ち消した。
「この世界を救うことに比べたらな」
「些細なことだね」
「皇帝になるとかこの浮島のことだけでな」
「おいら達がすることはね」
「この浮島を統一してな」
「その力を使ってだからね」
「海の魔神を倒してな」
 この目的は忘れていない、それも一瞬たりとも。
「そしてな」
「そう、この世界を救う」
「それが目的だからな」
「皇帝になることは」
「小さいな」
「まだね」
「皇帝になるにしても目的じゃない」
 久志はこのことを強く認識もした。
「むしろな」
「そこからだね」
「ああ、皇帝になってな」
「その権威で王様も取り込んで」
「そしてな」
 それでというのだ。
「治めていくことだな」
「その格も使ってね」
「そうだな、じゃあな」
「それならだね」
「皇帝への即位も考えるな、けれど今はな」
「古王国のことだね」
「降るならな」
 それならと言うのだった。
「もうな」
「それでいいね」
「ああ、王様はそのままで。あとこの国の王様はそのままなら」
 ここで久志はさらに言った。
「ナポリ公もな」
「王様に戻すんだね」
「ああ、そうしないと不公平だしな」
「それじゃあね」
「ナポリ王復権な、そして俺は」
「皇帝にだね」
「なることを真剣にな」
 まさにと言うのだった。
「考えるな」
「それじゃあね」
 こうした話を船の上でした、そうして一行はメンフィスに入る前に古王国が降伏を受諾したと知った。そうしてだった。
 メンフィスに入った、街は非常に整い見事なものだった。その街の中に入りその外の畑を見てだった。
 久志は唸ってだ、こんなことを言った。
「いや、周りは確かに砂漠だけれどな」
「ナイル川の周辺はいいな」
「ああ、見事な穀倉地帯だな」
 こう芳直に答えた。
「噂以上のな」
「それならだな」
「これからはこの古王国の穀倉地帯もな」
「使うな」
「ああ、ここで盛大に麦も米も作ってな」
 そうしてというのだ。
「食料の供給源にな」
「するな」
「ああ、ただそうするには」
 どうすべきかもだ、久志はわかっていた。それで言うのだった。 
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