ある晴れた日に
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74部分:優しい魂よその九
優しい魂よその九
「その通りよ。私は離れて見ていたから何もなかったけれど」
「近くにいた奴はそれこそ」
「えらいことになったのね」
「もうね。うんこがあちこちにかかって」
直接的な話になる。
「臭いの何のってね」
「まあそうなるよな」
「っていうか何でそんなことに?」
奈々瀬は首をかなり捻っていた。
「なったのよ。何考えてたのよ」
「だから普通じゃ面白くないってなって」
「それだけでそんなことしたの」
「そうなの。どう思うかしら」
「どう考えても馬鹿じゃない」
完全に呆れている奈々瀬だった。
「犬のうんこに爆竹だなんて」
「私も馬鹿なことするって思ったわ」
見れば明日夢の顔と奈々瀬の顔が同じものになっている。
「それで結果がそれで」
「本当に馬鹿だったのね、その男連中」
「で、今何処の高校?」
咲と静華が尋ねる。
「何かすっごい気になるんだけれど」
「確か皆八条高校よ」
「ああ、あそこ」
静華はそれを聞いて納得した顔になった。
「その連中あれ?皆体育は得意でしょ」
「よくわかったわね、そうだけれど」
「だからよ。八条高校で頭があれっていったら」
「そうだよね。体育学部」
竹山が静華の言葉に頷く。
「そうだったね、確か」
「そういうこと。だからなのね」
「言っておくけれどその連中全員勉強できなかったから」
「やっぱり」
これも静華の予想通りだった。
「八条高校ってうちと同じ位の偏差値だからね」
「普通科はそうだね」
桐生はこう言い加えてきた。
「そうなってるよね」
「学部多いからそれによってばらつきあるけれどね」
静華はそれもわかっていた。
「けれどまあそれでもそんなところよね」
「けれど体育学科はあれだからな」
「そういうこと」
野本の言葉にも頷く。
「頭全然使わないので有名だから、あそこは」
「何かのゲームの不良高校みてえだな、それってよ」
春華は少しわかりにくい表現を使ってきた。
「あの白ランが制服のよ」
「また随分と懐かしいゲーム出してきたな」
「もう殆ど覚えてねえぞ、それ」
野茂と佐々の知らない世界だった。
「あのやってたら性格がどんどん悪くなってくゲームのシリーズだろ」
「俺時代劇全員集合持ってたぜ」
「それだよ。まあ流石に白ランじゃねえけれどな」
それだけは流石になかった。
「まあ八条高校体育科だからな」
「ああ」
「尋常じゃねえのは間違いないな」
「まあ爆竹でそういうことがあったのよ」
明日夢は話を爆竹に戻した。
「だから。結構注意が必要よ」
「おい野本」
「わかったか?」
「幾ら俺でもそんなことしねえよ」
自分では坪本と坂上にこう返しはする。
「っていうか後先考えろよ、後先」
「御前に言われてもな」
「そうよね」
しかし皆の目は冷ややかなものだった、
「おもいきった馬鹿だし」
「本当にね」
「ちっ、またその話かよ」
「それでよ」
ここで正道が彼に声をかけた。
「御前花火全部使いきれるみたいだな」
「そういうのは得意さ」
言ってる側から左手の指の又に全部入れてやっている。豪快を通り越してかなり危険である。
「こうやってな。例えばな」
「本当に得意なんだな」
「俺も花火大好きなんだよ」
この辺りは春華と同じだった。
「さっき言ったような気がするけれどな」
「そういやそうか」
「それでよ、音橋」
彼は今度は正道に直接尋ねてきた。
「一つ聞きたいことがあるんだけれどよ」
「何だよ」
「御前ギターずっとやってるよな」
「ああ」
「やっぱり自信あるんだよな」
「それなりにな」
何でもないといった顔で頷いて彼に返した。
「できるつもりだぜ」
「そうか。そういや作詞も作曲もしてるよな」
「中学の時からしてるぜ」
ここでも何でもないといった顔だった。
「そっちもな」
「そうだよな。かなり年季あるよな」
「右手でも左手でも弾けるぜ」
笑って野本に答える。
「どっちでもな」
「両利きか?御前」
「ああ」
ここでわかった意外なことであった。
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