DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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命中率
<イシス>
「な…何やってんだよ!」
アルル達は宿屋へ戻り、状況説明をする為リュカの部屋に訪れた。
ドアを開け入室すると、中ではリュカと見知らぬ少女 (レイチェル)が閨事の真っ最中であった!
「全く!こっちは大変だったんだぞ!1日待ち惚けで!」
「あはははは。そんなに怒るなよぉ。……で、女王様には会えたのかな?」
数分後、ともかく行為を止めさせ、二人が服を着るのを待ってから状況の報告に入る。
「会えなかったわ!忙しいんだって!リュカさんと同じで!」
トゲのある発言をするアルル。
「へー、大変だったね」
しかし全く堪えてない。
「貴女達は女王に会って何をしたいの?」
不意にレイチェルが会話に割り込んできた。
「何や!?急に会話に割り込んで!だいたいアンタ何なんや!?」
「あぁ、ごめんね。私レイチェル!今日危ない所をリュカに助けられたの!そんで、今さっきお礼をしていたところよ」
「何でリュカさんはそうやってトラブルに遭遇するの…凄い命中率よね!」
「何でだろ?面倒事嫌いなんだけどね?」
笑っているリュカに呆れるアルル。
「で、何で女王に会いたいのよ!」
「私達、バラモス討伐の旅に出ているんです。その為にピラミッドにあると言われる、魔法の鍵を入手したいんですけど…」
「なるほど…ピラミッドへ入る許可を、女王に貰いに行ったのね…勝手に入っちゃえば良かったのに…」
「アホか!そんな事したら墓荒らしとして、手配されてまうやん!ウチらは魔法の鍵が欲しいだけや!墓、荒らしたい訳とちゃう!」
エコナはジェラシーから、レイチェルにきつく言い放つ。
「私、城には顔が利くんです!何だったら今から謁見できる様、計らいましょうか?」
「ほ、本当ですか!?しかも今からでも良いんですか?」
「えぇ!リュカがどうしてもって言うなら、私頑張っちゃうなぁ~」
そう言い、リュカの首に腕を回し甘えるレイチェル。
それを見て、一気に苛つくアルル・ハツキ・エコナ!
そんな女性陣に怯えるウルフ。
「じゃぁレイチェル…お願いするよ」
リュカは気にもせず、レイチェルにキスをする…
砂漠に血の雨が降るのは、時間の問題だろうか…?
リュカと腕を組み、イチャイチャしながら城内を歩くレイチェル。
そんなレイチェルを見て、唖然とする人々…皆、言葉を失っている様だ。
そんな状況を感じ取る余裕のない少女3人。
そんな少女3人のイラつきに、怯える少年が1人。
この奇妙な男女6人は、誰にも止められることなく、イシス城謁見の間へと入室して行く。
謁見の間に入ると、既に幾人かの側近等が待ち構えており、皆驚いた様子でリュカ達を見ている。
その中にはリュカが昼間に気絶させた3人の男も含まれている。
「ただいま~!久しぶりの城下は凄く楽しかったわ!」
レイチェルはリュカの腕から離れると、軽い口調で今日の感想を語り、玉座へと腰を下ろした。
「女王様!お戯れが過ぎますぞ!」
側近の一人…多分、最も位の高い大臣がレイチェルに向けて苦言を呈す。
「偶にはいいじゃない!」
それを軽い口調で流すレイチェル。
「ちょ…じょ、女王様!?貴方、イシスの女王だったの!?」
「口を慎まんか!」
アルルの発言に激怒する側近達…
「黙れりなさい!この者達は良いのです!私は身分を秘匿して、この者達と接していたのです…」
「し、しかし!」
レイチェルが許しを出しても、不満を口にする側近…恰好からして軍人であろう。
「女王がいいって言ってんだから、黙れよハゲ!」
「な、何だとぉ!こ、この無礼者め!」
爽やかな笑顔で無礼な物言いのリュカに、ブチ切れる軍人!
腰から剣を抜き放ち、リュカに襲いかかってくる!
「ブレイザー、お止めなさい!」
ブレイザーと呼ばれた軍事は、リュカまであと3メートルの所で止まる。
そして苦々しい表情のまま、剣を鞘に戻し下がった。
「ごめんなさい、皆さん。ちょっと気が短いのよ、彼…」
今にも血管がキレそうな程、顔を赤くしているブレイザー…
「茹で蛸みたいだね」
リュカとレイチェルが揃って笑い転げる!
アルル達は傅き、胃痛に悩まされている!
「さて…十分笑ったところで、本題に入りましょうか!…確か、ピラミッド探索の許可が欲しいんですよね!?」
「はい。バラモス討伐の為には、ピラミッドに保管されている、魔法の鍵が必要です。どうか我々に許可を…」
恭しく嘆願するアルル。
「………条件が1つあります!」
宿屋での気さくさが微塵もなくなったアルルを見て、意地悪をしたくなったレイチェルは、素直に許可を出さない。
「条件とは何でございましょう」
「ふふっ…簡単よ…リュカが私と結婚する事よ!」
一人傅いてないリュカを見つめ、国家の行く末が左右されそうな条件を提示するレイチェル!
「な!!そんな横暴な!」
「せや!そんなん認めへん!」
急に立ち上がり、レイチェルに向けて苦情をぶつけるハツキとエコナ。
「ハツキ、エコナ、黙って!!」
「「うっ!」」
アルルに怒鳴られ、再度傅く二人。
「女王様…その条件は、私の一存では答えられません…当人の意志を尊重致します」
「………なるほど…では、リュカ。私と結婚して下さいますか?」
先程までは冗談半分な表情だったが、今は真面目な表情で求婚するレイチェル…本気でリュカの答えを待っている。
「えー?ヤダよ!」
この場にいた誰もが驚く発言をするリュカ…
「き、貴様ー!!女王様の気持ちを踏みにじるとは…「うっさい!黙れよ!お前には関係ないだろうが、ハゲ!」
また一人激怒するブレイザー!(国家の重鎮だし関係なくは無いんだけどね)
頭皮の事をかなり気にしているらしく、先程よりも勢いを増してリュカに襲いかかる!
レイチェルも求婚を断られたショックで、少し呆然としていた為、今回は止める事が出来なかった!
ブレイザーはリュカに向けて剣を振り下ろす!
しかしリュカは、表情一つ変えることなく、右手の親指と人差し指で摘み受け止めた!
「オイオイ…女王の前で流血沙汰は拙いんでない?」
「ブ、ブレイザー!退きなさい…私の客ですよ!」
しかし退かないブレイザー…いや、退けないのだ…全体重をかけて剣を引き戻そうとしているが、リュカの手から剣が離れない!
「リュ、リュカさん!手を放してあげて下さい!」
気が付いたアルルがリュカに告げる。
「あ!そうか…」
リュカは慌てて手(指)を放す…すると、ブレイザーが勢い良く後方へ吹っ飛んだ!
何やら何処かで見た様な光景だ…
凄まじい勢いで壁に叩き付けられたブレイザーは、そのまま気を失い壁際に崩れ落ちた。
「…やっと静かになったね」
リュカの一言に、騒ぎ出しそうになった側近達を手で制し、穏やかにリュカへと語りかけるレイチェル。
「リュカ…何故、私と結婚してはくれないのですか?私と結婚すれば、イシスの王になれるのですよ?」
「ヤダよ!王様になったら自由に冒険出来ないじゃん!」
「………では、ピラミッドへの探索許可は認めません!…困るのではないかしら?魔法の鍵が手に入らないと」
レイチェルは少し意固地になっていた。
「僕は困らないよ。ただ、バラモスを倒せなくなるだけだし!」
そう…バラモスが倒されないと困るのは、この世界の人々だ…
イシスの女王とて例外ではない。
「……………………」
「……………………」
リュカとレイチェルは見つめ合いながら沈黙を続ける。
「ふふふ…分かりました。諦めます!あ~あ…私、本気でリュカの事好きになっちゃったのにぃ…」
「ごめんね。初めから敵わぬ恋だったんだよ…僕、奥さん居るし!」
「え゛!?奥さんが居るのに私の事ナンパしたの?」
謁見の間に側近達のざわめきが広がる!
それに比例して、アルル達の胃の穴も広がる様だ!
アルル達が胃潰瘍で倒れる前に、ピラミッド探索の許可を貰えるのだろうか?
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