ある晴れた日に
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676部分:日の光は薄らぎその六
日の光は薄らぎその六
「ちゃんとあるのよ」
「そうか。あるか」
「あるから。安心して」
こう正道に話すのだ。
「それはね」
「そうだな。今までだって」
正道はその言葉を聞きながら述べた。
「こいつ、駄目だと思っていても」
「そうでしょ?だから何度も言うけれど」
「食べているし見えていてか」
「それで聞こえているのよ」
そうだというのである。
「ちゃんとね」
「そうだな。もう少しなのかもな」
「そうね。もう少しね」
明日夢もそう感じているのだった。
「もう少しで未晴、元に戻るから」
「わかった」
正道は彼女のその言葉を受けた。そうしてであった。
ギターと歌を続ける。この日もまた。皆が帰っても一人残って続けるのだった。
その一同はこの日はスタープラチナに集まった。そこでまずはあまり酒に合わないものを食べていた。皆憮然とした顔になってしまっていた。
その中で野本が。まず言った。
「なあ」
「何だよ」
応えたのは春華だ。当然彼女もそんな顔になっている。
「何だってんだよ」
「御前等何でお楽しみメニューいつも頼むんだ」
「スリルがあるからだよ」
不機嫌そのものの顔で同じく不機嫌な顔の野本に返す。
「だからだよ。悪いか?」
「どう見たってハイリスクノーリターンだろうがよ」
つまり最悪だというのだ。
「この店のはよ」
「たまに当たるじゃねえかよ」
「今日も外れただろうがよ」
「ベイスターズ負けたからね」
桐生がここで言った。
「秋のオープン戦にもね」
「全くよく負けるよ」
野茂も不機嫌そのものである。
「あのチームはな」
「遂にやったってよ」
今言ったのは佐々である。
「敗戦記録更新な」
「今シーズンでか」
「百敗超えたんだな」
坪本と坂上の言葉も実にクールである。悟っていると言ってもいい。
「すげえな、百十敗だったか?」
「そこまでよく負けられるな」
言葉には最早表情もなかった。その彼等が食べているのは野菜スティックである。どう見ても酒に合うようなメニューではなかった。
「なあ、この野菜ってよ」
「何?」
春華の言葉に奈々瀬が返す。彼女の目は見事に死んでいる。
「美味いな」
「そうね」
それは認める奈々瀬だった。
「けれど酒にはな」
「絶対に合わないわよね」
「足てびち頼んだから」
今言ったのは咲である。彼女の目も死んでいて無気力に胡瓜をかじっている。
「あと沖縄料理一式」
「最初からそれ頼めよ」
野本は咲に対しても言う。
「まず外れるんだからよ」
「ベイスターズって何であんなに弱いの?」
「ベイスターズだからよ」
静華は茜の問いに答える。二人の目も死んでいる。
「もうそれに尽きるわ」
「成程ね」
そしてそれで納得する茜だった。恵美は今はビールだけを飲んでいる。野菜スティックも一応食べているが平気な面持ちである。
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