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ある晴れた日に

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674部分:日の光は薄らぎその四


日の光は薄らぎその四

「それでだけれど」
「ああ。それで?」
「何かね」
 また言う奈々瀬だった。
「そのロシアンケーキも食べたくなったし」
「そうなの」
「山月堂にもあったかしら」
「ええと。なかったんじゃないの?」
 咲はそれを言われても困った顔になっていた。
「そういうケーキは」
「クッキーはあるわよね」
「それは」
「それはね。ビスケットもね」
 それもあるというがであった。ロシアンケーキとなるとだ。
「慶彦さんに聞いてみようかな。できるかしら」
「山月堂にはないのか」
「じゃあ何処で買うんだ?」
「百貨店よ」
 そこだと話す恵美だった。
「そこで買うわ」
「八条百貨店」
「あそこか」
「あそこは何でもあるからね」
 だからだというのである。
「そこにね。だからね」
「だから?」
「そこに行くわ」
「よし、じゃあ」
「明日は」
 こんな話をしてからであった。この日は百貨店に向かうことになった。皆とにかく未晴の為に頑張っているのだった。
 そしてであった。正道も。今度はあの植物園に来ていた。そのコスモスの前でまた未晴にギターを聴かせているのであった。そして歌もだ。
 皆もそこに来てだ。そうして声をかけていた。
「そこにいたのね」
「それで」
「また未晴に」
「そうだ」
 そうだと。その彼等にも応えるのだった。
「こいつが喜んでくれるからな」
「そうだよな、俺達だってな」
「今日はこれよ」
 こう言ってであった。そのロシアンケーキを出してきたのであった。それを未晴の前に出す。
「ケーキだけれど」
「未晴、どう?」
「これ」
 そのケーキを未晴の前に出してそのうえで見せているのであった。
「見えるよね、食べたいよね」
「だから」
「おたく等もなんだな」
 正道はその彼に話すのだった。
「そうしてこいつの為に」
「そうよ、だからよ」
「私達だって」
 彼女もだというのだ。絶対にだ。
「これ、持ってきたから」
「今日は食べられるかしら」
「気持ちは食べてくれているから」
 未晴を囲んでそれぞれ言う五人に後ろから桐生が言ってきたのだった。
「それは安心していいよ」
「そうよね。そう思うから」
「本当に」
「だから」
 その為に買って持って来ているのだった。彼女達もである。
「今日はこのケーキをね」
「いつか食べてくれたら」
「そういえばよ」
 野本がここで言った。
 
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